家は、建てて終わりじゃありません。
新築でピカピカの我が家。でも、10年ほど経つと、最初の「大きな出費の山」がやってきます。
- 外壁の塗り替え
- 屋根のメンテナンス
- 給湯器やエアコンの寿命
- 設備の交換
これらが、だいたい同じ時期に、一斉に寿命を迎えるんです。知らずにいると、「え、こんなにお金かかるの!?」と、まとまった出費に慌てることになります。
でも、現場でいろんな家を見てきた立場から言うと——この10年後の出費、実は「家の作り」で全然変わります。同じ築10年でも、ほとんどお金がかからない家もあれば、大きな出費が必要な家もある。
今回は:
- 10年後、なぜ一斉に出費が来るのか
- 外壁塗装は「家の作り」で全然変わるという話
- 工事するなら「一気にやる」のが得な理由
- シロアリと「飛び込み営業」に注意
を、現場目線でお伝えします。
「家って、建てた後どれくらいお金かかるん?」という施主さん、知っておくと、慌てずに済みます。
10年後、一斉に「寿命」が来る

まず、なぜ「10年後」なのか、から。
設備も外装も、同じ時期に傷んでくる
新築から10年ほど経つと、家のいろんな部分が、同じ時期に寿命を迎え始めます。
- 外壁・屋根:紫外線や雨風で、塗装が傷んでくる
- 給湯器:10〜15年が寿命の目安
- エアコン:10〜15年
- キッチンの設備(食洗機・レンジフードなど):約10年
- シロアリ対策の薬剤:効果が切れてくる
家を建てた時、これらは全部「新品」でスタートします。だから、寿命が来るタイミングも、だいたい揃う。10年目あたりで、いろんなものが一斉にガタッときます。
だから「最初の大きな山場」になる
一つひとつは、そこまで高額じゃないものもあります。でも、それが一斉に来ると、合計はまとまった金額になります。
しかも、住宅メーカーの保証(構造や雨漏りの10年保証)が切れるのも、ちょうどこの時期。だから10年目は、新築後、最初の大きな「お金の山場」なんです。
事前に知っておけば、慌てない
でも、これは事前に知っておけば、慌てずに済む話です。
「10年目にはこれくらいの出費が来る」と分かっていれば、毎月少しずつ積み立てておける。マンションの修繕積立金と同じ考え方です。知らずにいきなり来るのが一番きついので、まずは「10年目に山が来る」と頭に入れておいてください。
外壁塗装は「家の作り」で全然変わる

ここが、今回一番伝えたいポイントです。10年後の出費の中でも一番大きいのが外壁塗装ですが、これ、家の作りで必要な時期が全然違うんです。
外壁塗装は、10年後の出費で一番大きい
外壁の塗り替えは、10年後の出費の中でも、特に金額が大きい部分です。家一軒まるごとの塗装になるので、それなりの費用がかかります。
一般的には「10〜15年で塗り替え」と言われます。でも、これはあくまで平均の話。実際は、家によって全然違います。
「ひさしなし+ガルバや木の外壁」は、早く傷む
たとえば、こういう家。
- 軒(のき)やひさしが少ない、四角いデザインの家
- 外壁がガルバリウムや木などの素材
こういう家は、外壁が雨風や紫外線を直接浴び続けます。だから傷みが早く、10年もすると全面塗り替え、というケースもざらです。
見た目はスタイリッシュでかっこいいんですが、その分、メンテナンスの負担は大きくなりがち。過去の記事「スタイリッシュな庇なし住宅、メンテ費で泣くな」でも書いた通り、デザインとメンテ費は、トレードオフの関係になりやすいです。
「ひさしあり+サイディングやタイル」なら、塗り替えのペースがゆっくり
一方、こういう家。
- 軒やひさしが、しっかり出ている
- 外壁がサイディング、またはタイル
こういう家だと、外壁が雨風から守られてるので、傷みがゆっくり。10年ではまだ塗り替えが必要ないことも多いです。
特にタイルの外壁は、優秀です。タイル自体は塗装が要らない素材なので、色褪せや塗り替えの心配が少ない。初期費用は上がりますが、長い目で見ると、メンテナンスの手間とお金を抑えられます(※タイルの目地部分などは、点検・補修が必要になることはあります)。
つまり——同じ築10年でも、家の作りで、外壁の出費は全然違う。これは、建てる前の設計で決まる部分です。「10年後のメンテ費を抑えたい」なら、ひさしをしっかり出して、外壁材を選ぶ。建てる時の選択が、10年後の財布に効いてくるんです。
工事するなら「一気に」が得

いざメンテナンス工事をする時の、お金の節約ワザも一つ。
足場代は「1回」で済ませる
外壁塗装も、屋根の塗装・補修も、足場を組む必要があります。この足場代が、意外とバカにならない。
ここでポイント。外壁と屋根を、同じタイミングでまとめて工事すれば、足場代は1回で済みます。
- 外壁だけ先にやる → 足場代1回
- 数年後に屋根をやる → また足場代1回
- 合計、足場代2回分
これを、外壁と屋根を同時にやれば、足場は1回。足場代が1回分、まるまる浮きます。
経費も「まとめて」の方が安い
足場だけじゃありません。工事をまとめると、業者や工務店の経費も1回で済みます。
- 現場の段取り、職人の手配、諸経費
- 別々にやると、その都度かかる
- まとめてやれば、一度で済む
分けてやると、都度いろんな経費がかかって、トータルでは高くつく。どうせやるなら、一気にまとめてやる方が、合理的で安い——これは、施工する側から見ても、その通りです。
「10年目に、まとめて」が一つの目安
だから、メンテナンスは「気づいた時にバラバラ」じゃなく、「10年目あたりに、まとめて」計画するのがおすすめです。
外壁・屋根・傷んだ設備を、ある程度まとめて手を入れる。そうすれば、足場代も経費も節約できて、家もリフレッシュされます。
シロアリと「飛び込み営業」に注意

もう一つ、10年目あたりで話題になるのがシロアリです。ただ、ここは少し注意が必要です。
シロアリ薬剤の効果は、5年〜10年
新築時に施工するシロアリ対策の薬剤は、効果が永久に続くわけではありません。
- 使う薬剤によって、効果の期間が違う
- だいたい5年〜10年で、効果が切れてくる
- 新築時に「何年のもの」を施工したかで変わる
なので、「うちは新築時に何年のシロアリ対策をしたか」を、一度確認しておくといいです。効果が切れる時期が分かれば、再施工のタイミングも計画できます。
最近はベタ基礎で、被害はかなりマシ
ただ、そこまで神経質にならなくていい面もあります。
最近の家は、ベタ基礎(床下全面をコンクリートで覆う基礎)が主流です。床下が土のままだった昔の家に比べると、シロアリの被害は、かなりマシになってる印象です。土からシロアリが上がってくる経路が、コンクリートで塞がれてるからです。
だから、「シロアリ=すぐ家が食われる」と過剰に怖がる必要はありません。
「飛び込み営業」のシロアリ点検には要注意
そして、ここが一番大事。飛び込みで来る「シロアリ点検」の営業には、気をつけてください。
- 突然訪ねてきて「無料で点検します」
- 「床下がヤバいことになってます」と不安を煽る
- 高額な駆除工事を契約させる
こういう手口、残念ながらあります。そもそも、地元でしっかり営業してる真面目な業者は、飛び込み営業なんて、まずしません。飛び込みで来る業者は、それ自体が一つの警戒サインです。
シロアリに限らず、飛び込み営業で来るものは、ロクなものを売りつけられないことが多いので、要注意。「無料点検」の言葉に乗せられず、気になるなら、自分で信頼できる地元の業者に相談するのが安全です。
(※この「飛び込み営業の手口」については、他にもいろいろあるので、また別の記事で詳しく書こうと思います)
まとめ

長くなったので、まとめます。
10年後、一斉に「寿命」が来る
- 外壁・屋根・給湯器・設備が、同じ時期に傷む
- 保証も切れる、最初の大きな「お金の山場」
- 事前に知って積み立てておけば、慌てない
外壁塗装は「家の作り」で全然変わる
- ひさしなし+ガルバや木 → 10年で全面塗り替えもざら
- ひさしあり+サイディングやタイル → 塗り替えのペースがゆっくり(タイルは特に優秀)
- 建てる時の設計が、10年後の出費を決める
工事するなら「一気に」が得
- 外壁+屋根を同時にやれば、足場代が1回で済む
- 業者の経費も、まとめれば1回
- 分けてやると、都度経費で高くつく
シロアリと「飛び込み営業」に注意
- 薬剤の効果は5年〜10年(新築時の施工次第)
- 最近はベタ基礎で、被害はかなりマシ
- 飛び込みのシロアリ点検営業は要注意、真面目な業者は飛び込みしない
家は、建てて終わりじゃありません。10年後には、最初の大きな出費の山が来ます。
でも、その山の大きさは、建てる時の「家の作り」で変わる。ひさしをしっかり出す、外壁材を選ぶ。そういう選択が、10年後の財布に効いてきます。そして、いざ工事する時は「一気にまとめて」。飛び込み営業には乗らない。
これを知っておくだけで、10年後、慌てずに済みます。
業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。
次回予告
次回も、現場で見てきた情報を、施主目線で翻訳してお届けします。
もしまだ読んでない方は、過去の記事もぜひ:


コメント