住宅の修繕費は「壊れてから」でいいのか。積立と火災保険の話

住宅の修繕費への備え アイキャッチ お金・予算

家は、建てて終わりではありません。住んでいれば、どこかが傷んできます。

  • 給湯器が壊れた
  • 雨漏りがした
  • 外壁が傷んできた

こういうとき、多くの家庭では「壊れてから、どうにかする」という対応になります。まとまった金額が急に必要になって、慌てる。よくある話です。

マンションには修繕積立金がありますが、戸建てにはありません。だから、備えるかどうかは、完全に自分次第です。

僕は住宅だけでなく、工場の修繕工事にも関わってきました。そこで感じるのは、建物の規模が違っても、やってることは案外似ているということ。ただ、お金の準備の仕方だけは違うんです。

今回は:

  • 工場も実は「壊れてから」が多いという話
  • それでも工場が慌てない理由
  • 住宅で現実的にできる、2つの備え

を、現場目線でお伝えします。

実は、工場も「壊れてから」が多い

工場のメンテナンスも実は事後対応が多い

まず、意外に思われるかもしれない話から。

雨漏りは、漏ってから対応

「工場やビルは、計画的にメンテナンスをしている」というイメージがあるかもしれません。でも正直に言うと、そうでもありません

たとえば雨漏り。事前に対策をしているかというと、実際は漏ってから対応することがほとんどです。笑 建物の規模が大きくなっても、そこは住宅とあまり変わりません。

計画的なのは「効率化」の工事

一方で、計画的に進めるものもあります。製造の効率を上げるための設備工事などは、ある程度の予算を組んで、計画的に実施されます。

つまり、こういう整理になります。

  • 攻めの工事(効率化、新設) → 計画的に予算を組む
  • 守りの工事(修繕、故障対応) → 起きてから対応

意外と、住宅と似た構造です。

でも、慌てない理由がある

じゃあ、工場は急な故障が起きたときどうするか。予備費の予算から発注します

「何が壊れるか分からないけど、何かは起きる」という前提で、あらかじめ枠を用意してあるわけです。ここが、住宅との一番の違いだと思います。

違いは「お金の出どころ」

会社の予算と個人の家計では備え方が違う

では、なぜ工場は予備費を用意できて、住宅では用意しにくいのか。

会社の予算は、枠を確保しやすい

言い方が難しいのですが——会社の予算は、事業として組まれるものです。「建物を維持するための費用」として、ある程度まとまった枠を確保しやすい仕組みになっています。

修繕は事業を続けるために必要な支出なので、予算を通しやすい。そういう環境があります。

家計では、優先順位に負ける

一方、住宅の修繕費は、自分の財布から出るお金です。

しかも、家計にはいろんな支出があります。教育費、車、旅行、日々の生活。その中で「まだ壊れていない家の修繕費」は、どうしても優先順位が下がります。

だから、壊れるまで直さないという傾向になりやすい。これは、意識が低いという話ではなく、普通のことだと思います。実際、修繕のための予備費を毎月積み立てている家庭は、あまり多くありません。

マンションが強制積立なのは、そのため

ここで、マンションの話が分かりやすいです。

マンションには、修繕積立金という制度があります。なぜかというと、共有部の修繕費が莫大になるからです。外壁、屋上防水、エレベーター——いざとなったときの金額が大きすぎて、強制的に積み立てておかないと、直すこと自体が難しくなります。

つまり、「人は自然には積み立てない」ことを前提に、仕組みで解決しているわけです。

戸建てには、その仕組みがありません。だからこそ、自分で仕組みを作る必要があります。

住宅でできる、2つの備え

住宅の修繕に備える2つの方法

では、具体的に何ができるか。現実的な方法は2つです。

①「修繕用の枠」を作っておく

一つ目は、修繕のための予算を、別に用意しておくことです。

大事なのは、「何にいくら必要か」を細かく計算しようとしないこと。正直なところ、どこがいつ壊れるかは、事前には分かりません。予想も難しいです。

だから、金額の内訳を考えるより、「枠」を用意する方が現実的です。

  • 毎月少しずつでも、修繕用として分けておく
  • 生活費とは別の口座にしておくと、なお良い
  • 使わなければ、そのまま残るだけ

工場でいう「予備費」と同じ発想です。何が起きるか分からないから、枠だけ用意しておく。これができていれば、いざというときに慌てずに済みます。

②火災保険の内容を把握しておく

もう一つが、火災保険です。

意外と知られていませんが、火災保険は火事のためだけのものではありません。契約内容によっては、自然災害などによる建物の損害にも使える場合があります

ただし——保険の種類や契約内容によって、適用される範囲はまったく違います。僕は保険の専門家ではないので、「これは使えます」とは言えません。

なので、やるべきことはシンプルです。

  • 自分の保険証券を、一度確認しておく
  • 分からなければ、保険屋さんに聞いてみる

「こういう場合は使えますか?」と事前に把握しておくだけで、いざというときの判断が変わります。知らずに全額自腹で払ってしまうのが、一番もったいないパターンです。

まとめ

住宅の修繕は枠を用意して備える

まとめます。

工場も、実は「壊れてから」が多い

  • 雨漏りは漏ってから対応することがほとんど
  • 計画的なのは、効率化などの「攻めの工事」
  • でも急な故障には、予備費の枠がある

違いは「お金の出どころ」

  • 会社の予算は、維持費として枠を確保しやすい
  • 家計では、他の支出に優先順位で負ける
  • マンションの修繕積立金は、それを仕組みで解決したもの

住宅でできる2つの備え

  • ①修繕用の「枠」を作っておく(内訳より枠)
  • ②火災保険の内容を把握しておく(保険証券を確認、保険屋さんに相談)

家の修繕は、いつ、どこで、いくらかかるかを事前に読むのは難しいです。だからこそ、細かく計画するより、「何か起きる」前提で枠を用意しておく方が現実的だと思います。

そして、火災保険。一度、自分の契約内容を確認しておくだけで、いざというときの選択肢が増えます。これは、お金をかけずに今日できることです。

壊れてから慌てるのと、枠を用意した上で対応するのとでは、同じ出費でも気持ちがまったく違います。

業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。

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