木造と鉄骨、どっちがいい?現場から見た本当の違い

木造と鉄骨の違い アイキャッチ 設計・間取り

家を建てるとき、一度は耳にする話です。

「木造と鉄骨、どっちがいいんですか?」

ハウスメーカーを回ると、それぞれが自社の構造の良さを説明してくれます。鉄骨のメーカーは鉄骨を、木造のメーカーは木造を勧める。当たり前のことですが、聞いている方は混乱しますよね。

中でもよく聞くのが、これです。

「木造は職人の腕で品質がバラつきます。鉄骨は工場生産なので安定しています」

説得力があるように聞こえます。でも、現場から見ると——この話、少し古いです。

今回は:

  • 「木造はバラつく」がもう古い理由
  • 工場の鉄骨と、住宅の鉄骨は別物という話
  • それぞれの本当の弱点

を、現場目線でお伝えします。

「木造はバラつく、鉄骨は安定」はもう古い

木造もプレカットで工場加工されている

まず、一番よく聞く話から。

鉄骨が「安定している」のは事実

先に、正しい部分から書きます。

鉄骨のハウスメーカーの家は、ほとんどの部材が工場で加工されて、現場で一気に組み立てられます。だから品質が一定に保たれるのは、確かに事実です。ここは間違いありません。

でも、木造も工場で加工されている

ただ、今の木造も同じです

在来工法の木造住宅は、プレカットといって、柱や梁を工場で機械加工します。昔のように、大工が現場で一本一本刻むわけではありません。だから、骨組みの品質はかなり一定に保てます

「木造は職人の腕次第」というイメージは、プレカットが当たり前になる前の話です。今は、木造も鉄骨も、骨組みは工場加工が基本になっています。

そして、基礎と外構は「現場施工」

もう一つ、大事なことがあります。

鉄骨のハウスメーカーでも、基礎工事と外構工事は、現場で職人が施工します。ここは工場では作れません。

つまり——家の基礎の品質は、鉄骨のハウスメーカーでも地元の工務店でも、そこまで変わりません。どちらも、現場の職人の仕事だからです。

※最近は、プレキャストといって、工場で作ったコンクリート部材を現場で組み立てる基礎もあるようです。ただ、まだ一般的とは言えませんし、どんな基礎でも地面をならしたり、据え付けたりする現場作業は残ります。

「鉄骨だから、すべてが工場品質で安心」というわけではない。この部分は、頭に入れておいていいと思います。

工場の鉄骨と、住宅の鉄骨は別物

工場の鉄骨と住宅の鉄骨は施工方法が違う

もう一つ、あまり知られていない話を。

工場や倉庫の鉄骨は、現場で溶接する

僕は工場や倉庫の工事にも関わってきましたが、そういった建物の鉄骨は、現場で溶接することがあります。その場で加工が必要になる場面もあります。

現場で溶接するとなると、職人の技術がそのまま品質に出ます。溶接の腕がいい職人の仕事は、本当にすごいです。

住宅の鉄骨は、ボルトで留めるだけ

一方、ハウスメーカーの鉄骨住宅は、現場での溶接がありません

  • 外壁も内装も、ほとんど工場で加工されてくる
  • 現場では、継ぎ手の部分をボルトで固定するだけ

だから、施工のスピードが早く、品質も安定します。同じ「鉄骨」でも、工場の建物と住宅とでは、作り方がまったく違うわけです。

ちなみに、戸建ての9割は木造

余談ですが、日本の戸建て住宅は、9割以上が木造です。

僕自身も、住宅の仕事では木造がほとんどで、個人住宅の鉄骨を手がけることは、あまりありません。それくらい、住宅では木造が主流だということです。

それぞれの「本当の弱点」

鉄骨と木造それぞれに弱点がある

メリットは各社が説明してくれるので、ここでは弱点を正直に書きます。

鉄骨の弱点

①コストが高い

これが一番大きいです。材料費も工場加工の費用もかかるので、木造より高くなります。将来のリフォームや増改築も、同様に高くつきやすいです。

②気温で伸び縮みする

意外と知られていないのが、これです。鉄は、気温によって伸び縮みします

その動きが外壁にも伝わるので、外壁が動きやすく、ひび割れが出やすいという面があります。「鉄骨だから頑丈で何も起きない」というわけではありません。

木造の弱点

①鉄骨より強度は劣る

素材そのものの強さで言えば、鉄には及びません。

②腐る恐れがある

木なので、水に濡れた状態が続けば腐ります。だから防水や雨仕舞いが大事になります。

③シロアリのリスク

これも木造ならではです。ただ、最近はベタ基礎が主流なので、昔よりは被害が減っている印象です。

どちらにも弱点はある

こうして並べると分かりますが、どちらが絶対に優れている、ということはありません

  • 鉄骨:丈夫だけど、高いし、動く
  • 木造:安くて扱いやすいけど、腐りとシロアリの管理が要る

それぞれの性質を理解した上で、自分の予算と条件に合う方を選べばいい、というのが現場からの正直な答えです。

まとめ:構造より「誰が建てるか」

構造より誰が建てるかが大事

まとめます。

「木造はバラつく、鉄骨は安定」はもう古い

  • 鉄骨が工場加工で安定しているのは事実
  • でも木造もプレカットで工場加工されている
  • 基礎と外構は、どちらも現場施工

工場の鉄骨と、住宅の鉄骨は別物

  • 工場や倉庫:現場で溶接や加工がある
  • 住宅のハウスメーカー:ボルトで留めるだけ
  • 戸建ての9割以上は木造

それぞれの弱点

  • 鉄骨:コストが高い、気温で伸び縮みして外壁がひび割れやすい
  • 木造:強度は劣る、腐る恐れ、シロアリのリスク

「木造と鉄骨、どっちがいいか」という質問に、僕はどちらとも言えません。予算も、建てる土地も、求めるものも人それぞれだからです。

ただ、一つ言えるのは——構造の種類より、「誰が建てるか」の方が、ずっと家の出来に影響します

鉄骨でも木造でも、基礎は現場で作られます。外構も現場です。そして何より、細かい納まりや雨仕舞いといった部分は、施工する人の丁寧さで決まります。

構造で悩むのもいいですが、信頼できる業者を見つけることの方が、結果的に大きい。これは、いろんな現場を見てきた実感です。

業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。

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