寒波の朝。蛇口をひねっても水が出ない。
凍ったな、と。
ここで多くの人が慌ててお湯を取りに行きます。でも、ちょっと待ってください。
凍った瞬間は、実はまだ何も起きていません。水が出なくて不便なだけです。
本当に怖いのは、溶けたときです。
この記事では、現場から見た凍結の話を書きます。
- 凍るのはどこか
- 凍ったときに、やっていいことと悪いこと
- なぜ「溶けたとき」が本番なのか
- 新築で建てるなら、何をしておくか
先に一つだけ。今のうちに、水道の元栓の場所を確認しておいてください。理由は後で書きます。
なお、私は関西で仕事をしています。北海道や東北の寒冷地は、正直また別世界です。そちらの常識は分からないので、ここでは触れません。関西あたりの話として読んでください。
凍るのは、だいたい「外の立水栓」です

まず、どこが凍るのか。
一番多いのは、外の水栓です
やっぱり外の立水栓が多いです。庭や駐車場にある、あの水道です。
理由は単純で、むき出しで外にあるから。外気にそのままさらされているので、冷えれば凍ります。
家の中は、意外と凍りません
逆に、家の中はそこまで心配いりません。
配管はだいたい地中に埋まっています。土の中は外気ほど冷えないので、埋まっている部分は守られます。そこから家の中に入るので、室内の配管もそう簡単には凍りません。
「家中の水道が凍ったらどうしよう」と心配する方がいますが、そこまでの事態にはなりにくいです。
気をつけるなら、露出している部分
危ないのは、外に出ている部分です。
- 外の立水栓
- 給湯器まわりの配管
- 何かの都合で、外壁に沿って露出している配管
ここが集中して冷えます。逆に言えば、見えているところだけ気にしておけばいいということでもあります。
凍っただけなら、まだ何も起きていません

ここが大事なところです。
凍った時点では、被害ゼロです
水が出ない。不便です。でもそれだけです。
配管の中の水が氷になっているだけで、この時点では何も壊れていません。漏れてもいません。
だから、まず落ち着いてください。
溶かすなら、ぬるま湯かドライヤー
どうしても使いたい場合は、ぬるま湯をかけるか、ドライヤーで温めます。
熱湯はやめてください。急に温めると、配管や水栓が割れることがあります。凍っているところに熱湯をかけて、そこで割ってしまったら元も子もありません。
ゆっくり、じわじわ温めるのが基本です。
一番いいのは、待つことです
もっと言うと、その水道を今すぐ使わなくていいなら、自然に溶けるのを待つ方がいいです。
昼になって気温が上がれば、たいてい溶けます。
焦って無理に溶かそうとして割ってしまう。これが一番もったいないパターンです。何もしないのが正解ということは、現場でも案外あります。
本番は、溶けたときです

ここが、この記事で一番伝えたいことです。
凍っている間は、漏れません
もし配管が凍結で割れていたとしても、凍っている間は水が漏れません。
氷が栓の役割をしているからです。割れているのに、漏れない。だから気づきません。
溶けた瞬間に、噴き出します
そして気温が上がって氷が溶けると、そこから水が噴き出します。
これが本番です。朝「凍ったな」で終わったと思っていたら、昼に帰ってきたら水浸し、ということが起こります。
だから、元栓の場所です
噴き出したときにやることは一つ。元栓を締めることです。
元栓は、水道メーターのボックスの中にあります。敷地の入り口あたりに、地面に埋まった四角いフタがあると思います。あれです。
今のうちに、一度開けてみてください。
- フタがすんなり開くか(土や草で固まっていないか)
- 中のどれが元栓か
- どっちに回せば締まるか
水が噴き出している最中に、初めてフタを開ける。これが一番まずいです。焦っているうえに、手も濡れています。
5分あれば確認できます。今日やっておく価値があります。
修理はいくらかかるのか
参考までに、費用の感覚も書いておきます。
土のところで、すぐに場所が分かれば1万円程度です。意外と安いと思われるかもしれません。
ただし水栓そのものが割れていれば、水栓代が追加になるのでもう少しかかります。
そして、どこで漏れているか分からない場合は、話が変わります。探すところから始まるので、費用が跳ね上がります。土間コンクリートの下だと、壊して直して復旧して、となります。
→ 詳しくはこちら:新築の配管、どこを通す?漏水修理で差が出る話
保険については、分かりません
「火災保険で直せますか」とよく聞かれますが、正直に言うと分かりません。
保険は契約内容によって適用範囲がまったく違うので、入っている保険会社に聞くしかありません。ここで適当なことは言えません。
→ 保険の確認については、こちらにも書きました:住宅の修繕費は「壊れてから」でいいのか
新築で建てるなら、やっておくこと

これから建てる方向けの話です。
なるべく深く埋める
給水管は、なるべく深いところを通すのが基本です。
体感で言うと、20cm以上の深さがあれば、関西ならまず大丈夫だと思います。土がしっかり守ってくれます。
水抜き栓や不凍栓は、関西では付けません
寒冷地では水抜き栓や不凍栓を付けますが、関西ではあまり付けません。年に数回凍るかどうかの地域に、その設備は過剰です。
このあたりは地域によって常識が全然違うので、その土地の業者の判断に従うのが一番です。
工務店に言うのは、この2つだけ
打ち合わせで何を聞けばいいか。難しいことは要りません。2つだけです。
- 凍結の恐れがある配管は、なるべく避けてほしい
- どうしても露出配管になるなら、しっかり保温してほしい
これだけ伝われば十分です。あとはプロが考えます。
以前に水回りの記事で「給水管は凍結の恐れがあるので外に出さない」と書きましたが、その理由がこれです。
→ 詳しくはこちら:水回りの間取り、動線だけで決めてませんか?配管目線の話
まとめ

整理します。
凍るのはどこか
- だいたい外の立水栓。むき出しで外にあるから
- 家の中は意外と凍らない(配管は地中に埋まっているので守られる)
- 気にするのは、外に露出している部分だけでいい
凍ったときにやること
- 凍った時点では被害ゼロ。まず落ち着く
- 溶かすならぬるま湯かドライヤー。熱湯は配管や水栓が割れるのでNG
- 今すぐ使わないなら、自然に溶けるのを待つのが一番いい
本番は溶けたとき
- 凍っている間は、割れていても漏れない(氷が栓になっている)
- 溶けた瞬間に噴き出す
- 元栓はメーターボックスの中。今のうちに開けて、場所と回す向きを確認しておく
- 修理は、土のところですぐ場所が分かれば1万円程度
- 保険は契約次第。保険会社に聞くしかない
新築で建てるなら
- 給水管はなるべく深く。関西なら20cm以上あればまず大丈夫
- 水抜き栓や不凍栓は、関西ではあまり付けない
- 工務店に言うのは「凍る恐れのある配管は避けて」「露出するなら保温して」の2つだけ
結局、一番やっておくべきこと
この記事で一つだけ持ち帰ってもらうなら、元栓の場所の確認です。
凍結に限らず、水が噴き出す場面すべてで使えます。給湯器が壊れたときも、配管が傷んだときも、まずやることは元栓を締めることです。
家に住んでいる限り、知っておいて損はありません。
業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。


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