「ハウスメーカーは値段高いけど、長期保証があるから安心」
「メンテナンスもプロに任せられて楽そう」
「地元の工務店だと、将来潰れたら困るし…」
…その「安心」、実は罠です。
僕は現役の一級建築施工管理技士で、木造戸建ての現場を20年以上見てきました。今までの記事では建てる時の話を書いてきましたが、今日は建てた後の話。これ、施主さんが契約前に絶対知っとくべきやつです。
結論から言うと:
HMは「建てた後」の方が、地元工務店より圧倒的に高くつきます。
しかも、その仕組みは「安心保証」という言葉でカモフラージュされてる。施主は気づかないまま契約して、30年後に「こんなはずじゃ…」となるんです。
この記事では、HMが建てた後に高くなる構造的な理由と、地元工務店との30年コスト比較、そして施主が囲い込みを回避する5つの対策を、現場のプロとして暴露します。
「安心保証」の本当の正体、知っといてください。
HMが「建てた後」に高くなる構造的理由

施主さんが見落としがちなのが、ここです。
HMの「ランニングコストが高い」って、営業マンが悪意で吹っかけてるわけじゃないんです。仕組み自体が、そう設計されてるんです。
仕組み①HM独自規格による「囲い込み」
HMが採用する建材や設備の多くは、HM独自の規格になってます。
- 玄関の鍵
- 内装ドアの金具
- システムキッチンや給湯器
- 外壁材
- サッシ・窓ガラス
これらが「普通の規格と微妙に違う」んです。サイズも、取り付け方法も、部品の形状も、HMオリジナル。
結果、何が起こるか:
街の修理屋・大工さんでは対応できない。
「HMに頼むしかない」状態が、最初から作られてるんです。
仕組み②保証システムの拘束力
HMの売りである「長期保証(20年・30年・60年など)」。これも構造的な罠です。
仕組みはシンプル:
- 無料定期点検(5年・10年・20年)が付いてくる
- その点検で「ここ劣化してます。修理しないと保証が切れます」と指摘
- 修理はHM指定業者で実施
- 相場の何倍も高い見積もり
施主は「保証を失いたくない」一心で、高額な見積もりを受け入れざるを得ない。保証を人質にされた状態です。
仕組み③「安心」のブランディング戦略
これらの仕組みは、すべて「安心保証」「長期サポート」というポジティブな言葉でラッピングされてます。
施主からすると:
- 大手だから安心
- 30年保証だから安心
- メンテナンス体制があるから安心
…でも、「安心」の裏側=「他社では対応できない依存関係」なんです。
これが、HMが「建てた後」に高くなる、本当の理由です。
罠①HM独自規格で、修理が割高になる現実

ここからが本題。具体的にどんな場面で、どう高くなるのか。
玄関の鍵が壊れたら…
例えば、玄関の鍵が壊れたとします。普通なら:
街の鍵屋に頼む場合
- 出張費:3,000〜5,000円
- 鍵交換費:1〜2万円
- 合計:1.3〜2.5万円
HM施工の家の場合
- HMコールセンターに連絡
- HM指定業者が来る
- HM独自規格の鍵だから、街の鍵屋では対応不可
- 出張費:1〜2万円(HM経由だから高い)
- 鍵交換費:3〜5万円(独自規格の部品代)
- 合計:4〜7万円
同じ「玄関の鍵交換」で、3倍近い差が出るんです。
他にもこんな場面で…
HM独自規格で割高になる代表例:
内装ドアの蝶番・取っ手
普通の規格なら5,000円程度で交換できるパーツが、HM規格だと2〜3万円。
システムキッチンの部品交換
水栓金具1個、引き出しレール1セット、こういう細かい部品もHM規格。
給湯器の交換
これが特にエグい。一般的な給湯器なら15〜25万円で交換可能なのに、HM独自仕様だと40〜60万円請求される例も。
外壁材の補修
10年経って外壁の一部が劣化。普通の補修なら数万円。HM独自外壁だと、そもそも他社で扱える業者がない。
「無駄な出張費」が積み重なる
さらに地味にきついのが、出張費。
HMのアフターサービスって、広域から派遣されることが多いんです。隣町に支店がなかったら、隣の県から来ることも。
- 出張費1回:1〜2万円
- 些細な修理でも発生
- 年に2〜3回呼ぶと、出張費だけで3〜6万円
修理代より、出張費の方が高いみたいなケース、現場で何度も見てきました。
罠②保証継続を人質にした、高額メンテナンス

これがHMランニングコスト地獄の本丸です。
無料定期点検の「本当の目的」
HMの「5年・10年・20年無料点検」、ありがたく感じますよね?
でも、これは営業活動です。
点検員(実態は営業マン)が来て、家中をチェック。そして必ず言われるセリフ:
「この劣化、保証の対象になりますが、修理しないと次の保証が継続できません」
保証を継続したければ、修理してくださいということ。
見積もりは「相場の2〜3倍」
その修理見積もり、地元工務店の2〜3倍は当たり前です。
例えば、よくある10年目の修理メニュー:
| 項目 | 地元工務店 | HM |
|---|---|---|
| 外壁塗装 | 80〜120万円 | 150〜250万円 |
| 屋根メンテ | 50〜80万円 | 120〜180万円 |
| シーリング打ち替え | 15〜25万円 | 40〜70万円 |
| 防水工事 | 30〜50万円 | 80〜130万円 |
10年で1回のメンテナンスで、100〜200万円の差が出ます。
「保証を切る」という選択肢の難しさ
「じゃあ保証切ればいい」と思うかもですが、これも難しい。
- 保証切れ後、雨漏りなど発生したら全額自己負担
- HM独自仕様なので、他社で対応できない箇所もある
- 売却時に「保証あり」と「保証なし」で物件価値が変わる
施主は「保証を失う恐怖」と「高額メンテへの怒り」の板挟みになる。結局、渋々HMに頼むことになります。
30年で見ると、累計金額がエグい
仮に10年・20年・30年で、それぞれメンテナンスを実施すると:
- 10年目:100〜200万円
- 20年目:150〜300万円
- 30年目:200〜400万円
累計450〜900万円。これ、保証継続のために払う事実上の上納金です。
HM vs 地元工務店、30年トータルコスト比較

じゃあ、地元工務店だとどう違うのか。30年で見た総額を比較してみましょう。
建てる時のコスト
35坪の注文住宅で、ざっくりこんな感じ:
| 項目 | HM | 地元工務店 |
|---|---|---|
| 建築費(本体) | 4,000〜6,500万円 | 3,000〜4,500万円 |
| 諸経費 | 400〜600万円 | 200〜350万円 |
| 建てる時の合計 | 4,400〜7,100万円 | 3,200〜4,850万円 |
建てる時点で、すでに1,000万円以上の差があります。
30年間のメンテナンスコスト
ここからが本題。
| 項目 | HM | 地元工務店 |
|---|---|---|
| 10年目メンテ | 100〜200万円 | 50〜100万円 |
| 20年目メンテ | 150〜300万円 | 70〜130万円 |
| 30年目メンテ | 200〜400万円 | 100〜180万円 |
| 突発的修理(鍵、設備など) | 50〜100万円 | 20〜50万円 |
| 30年メンテ合計 | 500〜1,000万円 | 240〜460万円 |
メンテだけで、追加500万円以上の差が発生します。
30年トータルで見ると
建てる時+30年メンテで合計すると:
- HM:4,900〜8,100万円
- 地元工務店:3,440〜5,310万円
約1,500〜2,800万円の差。これは子供の大学費用+老後資金くらいの金額です。
「HMの方が安心」の対価が大きすぎる
「でも地元工務店は将来潰れるかも」って心配する人いますよね。
確かにそのリスクはゼロじゃない。でも、1,500〜2,800万円の差を出してまでHMにする価値があるか?って話です。
地元工務店でも、創業数十年の老舗ならHMより長く存続してるケースも多い。「安心」の対価がこの金額だと、冷静に考える価値があります。
施主が「囲い込み」を回避する5つの対策

「じゃあ全員地元工務店にしろ」って話じゃないです。HMにもメリットはある。
ただ、HMで建てるなら、囲い込みを回避する工夫が必要。プロとしてのおすすめは5つ。
対策①契約前に「修理時の業者指定」を確認
契約前の打ち合わせで、必ず聞いてください:
「修理の時、御社の指定業者以外でもお願いできますか?」
ほとんどのHMは「指定業者でお願いします」と答える。これが囲い込み確定の合図です。「他社でもOK」と答えるHMは、囲い込み度が低めです。
対策②保証の「具体条件」を文章で確認
「20年保証」「30年保証」って言葉だけじゃダメ。
- 何の故障が、何年保証されるのか
- 保証継続の条件(例:有料メンテを受けることが必須など)
- 保証から外れる条件
これらを契約書や保証書で明文化してもらってください。口頭の説明は信用しない。
対策③「一般的な規格部材」を交渉する
打ち合わせで、こう交渉してください:
「汎用品の規格を使ってください」
「他社でも対応できる部材を選んでほしい」
特に鍵・水栓・ドアハンドルなど、後で故障する可能性が高いものは、汎用品にしてもらうメリットが大きい。
HMは「標準仕様じゃない」と渋るかもですが、施主が強く言えば対応してくれることも。
対策④10年経ったら、メンテは地元業者で見積もり比較
10年点検でHMから高額見積もりが出たら、必ず地元業者で相見積もりを取ってください。
- HMの見積もり:200万円
- 地元業者の見積もり:80万円
…みたいな差が、平気で出ます。
「保証を失う」リスクを天秤にかけても、地元業者に頼む方がトータルで得になることが多い。
対策⑤建てる前に「シミュレーション」してもらう
これが一番重要。
契約前に、HMの営業担当に「30年メンテナンスのシミュレーション」を出してもらってください。
「この家を30年維持するのに、メンテナンスでいくらかかりますか?」
答えを渋ったり、曖昧にする営業担当なら信用できないサイン。誠実な営業なら、ちゃんと出してくれます。事前に総額を知っておくだけで、判断軸が変わります。
まとめ。「安心保証」の本当の正体を見抜こう
長くなったので、まとめます。
HMが「建てた後」に高くなる構造
- 独自規格の囲い込み(他社で修理不可)
- 保証を人質にした高額メンテ(相場の2〜3倍)
- 「安心」のブランディング(罠を隠す装置)
HM vs 地元工務店、30年トータル
- HM:4,900〜8,100万円
- 地元工務店:3,440〜5,310万円
- 差額1,500〜2,800万円
囲い込みを回避する5つの対策
- 修理時の業者指定を確認
- 保証条件を文章で明確に
- 一般規格の部材を交渉
- 10年メンテは地元と相見積もり
- 30年メンテシミュレーションを依頼
家づくりは、建てる時の値段だけで決めると、30年で泣きます。
HMの「安心保証」は、確かに安心の側面もあります。でも、その対価として1,500〜2,800万円以上の追加コストを払う覚悟があるか?は、施主自身が冷静に判断すべきこと。
特に「HMは大手だから安心」「地元工務店は心配」っていう漠然とした感覚で決めてる人。本当にその差額を払う価値があるのか、もう一度考えてみてください。
僕は現場のプロとして、施主が知らんと損する仕組み、これからもバラしていきます。
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