冬の朝、窓がびっしょり濡れている。
「新築なのに、なんで?」
そう思った方へ、先に結論を書きます。
結露は、新しいか古いかの問題ではありません。温度差の問題です。そして温度差がある限り、ゼロにすることはできません。
身も蓋もない話ですが、これが現場の本音です。正直に言うと、「これをすれば絶対に結露しない」という方法は、私にも分かりません。
ではどうするのか。この記事では、そこを書きます。
- 結露がなぜ起きるのか(理屈)
- 本当に怖いのはどこか
- 建てる段階でできること
- どこからが「業者に相談」なのか
目指すのは結露ゼロではなく、カビさせないことです。
結露は、温度差があれば必ず起きます

まず理屈から。ここが分かると、あとの話が早いです。
空気が水を持てる量は、温度で決まります
空気は水蒸気を含んでいますが、含める量には上限があります。そしてその上限は、温度が高いほど大きく、低いほど小さい。
暖かい空気が冷たいものに触れると、冷やされて上限が下がります。持ちきれなくなった分が、水になって出てくる。これが結露です。
冷たい飲み物のコップに水滴がつくのと、まったく同じことが窓で起きています。
何℃で結露するかは、計算できます
室温20℃のとき、窓の表面温度が何℃を下回ると結露するか。湿度ごとに整理するとこうです。
| 室温20℃・湿度 | この温度を下回ると結露 |
|---|---|
| 50% | 約9.3℃ |
| 60% | 約12.0℃ |
| 70% | 約14.4℃ |
湿度が高いほど、結露しやすくなるのが分かると思います。
真冬の外気が5℃くらいだとして、窓が冷やされて表面が9℃を切れば、湿度50%でも結露します。珍しいことでも、欠陥でもありません。
だから「枠」が効いてきます
ここで効いてくるのが、サッシの枠の材質です。
アルミは熱をよく通します。だから外の冷たさがそのまま伝わって、枠の表面温度が下がる。表面温度が下がれば、上の表のラインを簡単に割り込みます。
ガラスを何枚にしても、枠が冷たければ枠で結露します。
→ 詳しくはこちら:窓は「ガラスの枚数」より「枠」を見ろ
本当に怖いのは、見えないところの結露です

ここからが本題です。
壁の中や、天井裏でも起きています
結露は窓だけの話ではありません。壁の中や、天井裏の換気ダクトでも起きます。
窓なら拭けます。でも壁の中は拭けません。気づかないまま進みます。
工場の仕事でも、結露は結構あります。建物の作りにもよりますが、部屋と部屋の温度差だけでも起きるので、なかなか難しいところです。
見つけ方は「カビ」です
では、見えないものをどうやって見つけるのか。
カビです。
毎回結露している場所は、必ずカビてきます。だから壁紙にカビが出てきたり、押し入れの奥がカビ臭かったりしたら、その裏で結露が起きている可能性があります。
結露そのものは見えませんが、結露の跡は見えます。
放置すると、構造体まで行きます
ここが一番伝えたいところです。
カビが出ている状態を放置すると、最終的に構造体まで傷んできます。木が湿ったままになるので、当然そうなります。
窓の結露を毎朝拭くのは面倒なだけですが、壁の中の結露は家の寿命に関わります。重さが全然違います。
→ 見えない場所の話は、雨漏りの記事にも書きました:雨漏りの原因は、なかなか特定できません。現場の本音
どこからが「相談」か
線引きもはっきりさせておきます。
- 窓が少し濡れる程度 → 温度差があれば起きます。気にしすぎなくていいです
- カビが出てきた → 業者に相談してください
カビが出るということは、乾く間もなく湿り続けているということです。そこが分かれ目です。
なお、カビの健康への影響については専門外なので、ここでは触れません。気になる方は、その道の専門家に相談してください。
建てる段階でできること。ただし「絶対」はありません

正直に書きます。
「これをすれば絶対に結露しない」という方法は、私にも分かりません。
ただ、減らすことはできます。最近は断熱の処理もかなり進化してきたので、昔よりは防げるようになってきました。
今なら、隙間なく吹き付ける
今の現場で言えば、ウレタンを隙間なく吹き付けるのが有力だと思います。
ポイントは「隙間なく」の方です。断熱材が入っていること自体より、隙間がないことが効きます。
狙いどころは、配管まわりの隙間
具体的にどこかというと、電気と設備の配管が壁を貫通している部分です。
ここに隙間が残っていると、そこから外気がちょっとでも入ってきます。わずかな量でも、そこだけ冷えれば、そこで結露します。
逆に言えば、断熱材をどれだけ入れても、貫通部の処理が雑なら、そこが弱点になります。
打ち合わせで聞くなら
もし業者に確認するなら、断熱材の種類よりも、こちらを聞いた方が実があります。
- 配管やコンセントの貫通部は、どう処理していますか
- 断熱材の隙間が出ないように、どんなやり方をしていますか
「どの断熱材を使いますか」より、「どう施工しますか」です。
高気密にしすぎると、かえって弱点に集中する気がします

ここは、少し違う話をします。
先に断っておきますが、これは数字で証明できる話ではありません。現場を見てきた人間の感覚です。
弱点が一か所しかないと、そこに全部来る
高気密にするのは、基本的には良いことです。
ただ、高気密にすればするほど、わずかな弱点に結露が集中する気がしています。
家全体をぴったり密閉して、一か所だけ処理が甘いところがあったとします。そうすると、その一か所に全部しわ寄せが行く。そして、そこがカビます。
乾く余地を残しておく
だったら、という話です。
そこそこの断熱にしておいて、多少は外気が入ってくる状態にしておく。そうすると、湿気ても天気が続けば乾いていきます。
結露自体は起きるかもしれません。でも乾く余地があれば、カビが出るほど湿気が溜まり続けることはありません。
これが、この記事の冒頭で書いた「目指すのはカビさせないこと」の意味です。
性能は、上げればいいわけじゃない
この考え方は、以前に書いた断熱の記事とまったく同じです。
性能は上げれば上げるほどいい、という話ではありません。上げた分だけ、別のところにしわ寄せが来ることがあります。
→ 詳しくはこちら:高断熱住宅、ハイスペックにすればいいわけじゃない
もちろん、しっかり施工できる業者が高気密高断熱をやるなら、それが一番です。ここで言っているのは、「性能の数字だけ追って、施工が追いついていない場合」の話です。
まとめ

整理します。
結露が起きる理由
- 温度差があれば必ず起きる。新しいか古いかは関係ない
- 室温20℃・湿度50%なら、表面温度が約9.3℃を下回ると結露する
- ガラスを何枚にしても、枠が冷たければ枠で結露する
本当に怖いのは、見えない結露
- 壁の中や天井裏でも起きている
- 見つけ方はカビ。毎回結露する場所は必ずカビてくる
- 放置すると構造体まで傷む
- 窓が少し濡れる程度は普通。カビが出たら業者に相談
建てる段階でできること
- 「絶対に結露しない方法」はない。でも減らせる
- 今ならウレタンを隙間なく吹き付ける
- 狙いどころは電気・設備の配管の貫通部。わずかな外気が結露を呼ぶ
- 聞くなら「どの断熱材か」より「どう施工するか」
高気密との付き合い方(個人の感覚です)
- 高気密にしすぎると、わずかな弱点に結露が集中する気がする
- そこそこにして、湿気ても天気が続けば乾く状態にしておく
- 乾く余地があれば、カビるほど溜まり続けない
住んでからできること
最後に、今住んでいる家でできることも書いておきます。
基本は、湿気を溜めないことです。
- なるべく除湿する
- 24時間換気は止めない
- 家具を壁にぴったり付けない(壁との間に空気を通す)
- 洗濯物の室内干しは、換気とセットで
どれも地味ですが、「乾く状態をつくる」という意味では同じです。
結局のところ
結露は科学です。温度差があれば起きます。だからゼロにしようとすると、しんどくなります。
目指すのは、カビさせないこと。それだけで十分だと思います。
業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。


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