太陽光発電、施工管理は慎重派です。売電単価の今と、雨漏りリスクの本音

太陽光発電は施工管理は慎重派 住宅性能・メンテ

新築の打ち合わせやモデルハウスで、こう言われたことありませんか?

「太陽光、つけましょう」

「電気代が浮いて、売電収入もありますよ」

「今なら補助金も出ますし」

先に、僕の立場をはっきりさせておきます。

僕は太陽光を売る側の人間ではありません。そして、施工管理として、太陽光には慎重派です。

なんでかって?

理由は大きく3つ。「売電で儲かる時代が終わってること」「屋根に穴を開ける工事のリスク」、そして「強引な売り方をする業者がいること」です。

今回は、太陽光を売りたい業者でも、否定して別の商品を売りたい人でもない、中立な立場から:

  • 売電単価の今(正直な数字)
  • 現場目線で一番心配な「雨漏りリスク」
  • 見落とされがちな「隠れた費用」
  • 一番気をつけてほしい「悪い売り方」

を、正直にお伝えします。

「太陽光、つけるか迷ってる」って施主さん、営業トークを聞く前に、ぜひ読んでください。

まず正直に。売電で儲かる時代は終わった

太陽光の売電で儲かる時代は終わった

最初に、一番大事な前提の話をします。

「屋根に載せれば儲かる」は過去の話

太陽光発電には、「売電」という仕組みがあります。発電した電気のうち、家で使いきれなかった分を電力会社に買い取ってもらえる制度です。

昔は、この売電の単価がかなり高く設定されてました。だから「屋根に載せるだけで儲かる」と言われて、一気に普及したんです。

でも、今は状況が全然違います。

売電単価は「当初の3分の1以下」

調べた数字を、正直にお伝えします。

  • 制度が始まった2012年:1kWhあたり42円
  • 2026年度:1kWhあたり24円(1〜4年目)、8.3円(5〜10年目)

※制度の内容や単価は年度によって変わるので、最新情報は必ず確認してください。

つまり、売電単価は制度開始当初の3分の1以下まで下がってます。しかも、2026年度からは期間の途中でさらに単価が下がる仕組みになってる。

「売電収入でローンを払って、さらにお得」——昔の営業トークのイメージは、もう成立しません。

「じゃあ自家消費でお得」の裏側

ここで、太陽光を売る側は、こう切り替えてきます。

「売電じゃなく、自家消費(自分の家で使う)ならお得ですよ」

確かに、電気代が高くなってる今、発電した電気を自分で使えば電気代は減ります。これは嘘じゃない。

でも、正直に言うと——「お得になるかどうか」は、家の条件次第なんです。

  • 屋根の向き・角度・日当たり
  • 地域の日照条件
  • 家族の電気の使い方(昼に家にいるか)
  • 設置費用がいくらか

これらが噛み合えばプラスになるし、噛み合わなければ「思ったほどお得じゃなかった」となる。「誰でも絶対お得」ではないんです。

施工管理が一番心配する「雨漏りリスク」

太陽光パネルの設置は屋根に穴を開ける工事

ここからが、現場を見てきた人間として、一番伝えたい話です。

太陽光パネルは「屋根に穴を開けて」つける

意外と知られてないんですが、太陽光パネルの多くは、屋根に穴を開けて金具を固定して設置します。

  • 屋根材にビスで穴を開ける
  • 架台(パネルを載せる金具)を固定する
  • その上にパネルを設置する

屋根って、本来は「雨を防ぐためのもの」ですよね。そこに、わざわざ穴を開ける工事なんです。

施工が雑だと、雨漏りする

もちろん、穴を開けた部分は防水処理をします。丁寧に施工されていれば、問題は起きにくいです。

でも、現場を長年見てきた立場から正直に言うと——

施工が雑だと、雨漏りにつながります。

  • 防水処理が甘い
  • 屋根材に合わない金具を使う
  • ビスの位置がずれてる

こういう施工をされると、すぐには分からなくても、数年後にじわじわ雨漏りしてくることがある。

そして怖いのが、雨漏りの原因調査は難しいということ。屋根の上のパネルの下で起きてることは、簡単には確認できません。「太陽光をつけた業者」と「家を建てた業者」が違うと、責任の所在で揉めることもあります。

屋根は「家の寿命」を左右する場所

過去の記事「複雑な屋根の家、雨漏りで泣くな」や「平屋は屋根にお金をかけろ」でも書きましたが、屋根は家の寿命を左右する超重要な部分です。

その屋根に穴を開けるということの重みを、施主さんには知っておいてほしい。

「太陽光をつける=屋根に手を加える工事をする」——この視点、営業トークではまず出てきません。でも、現場目線では、ここが一番気になるところなんです。

見落とされる「隠れた費用」

太陽光には見落とされがちな隠れた費用がある

次は、お金の話。設置費用以外にも、かかるお金があります。

パワコンの交換費用(15年で20~30万円)

太陽光発電には、「パワーコンディショナ(パワコン)」という機械が必要です。発電した電気を、家で使える電気に変換する装置ですね。

このパワコン、寿命が15年ほどと言われてます。そして交換には、20~30万円程度かかるのが一般的です。

「パネルは長持ちします」という営業トークは事実ですが、パワコンは途中で交換が必要。ここをシミュレーションに入れてないと、「思ったよりお金がかかる」となります。

撤去・廃棄の費用(10〜15万円程度)

もう一つ見落とされがちなのが、将来の撤去・廃棄費用。

パネルにも寿命があります。将来、撤去する時には:

  • 足場を組む費用
  • パネルの取り外し
  • 廃棄処分の費用

これで10〜15万円以上かかるのが一般的です。「タダで捨てられると思ってた」というトラブル、実際にあるそうです。

「元が取れるか」は、全部込みで計算する

つまり、太陽光のコスパを考える時は:

  • 設置費用
  • パワコン交換(15年で20~30万円)
  • 撤去・廃棄(10~15万円)
  • メンテナンス・点検費用

これ全部を含めて、電気代の削減額・売電収入と比べる必要があるんです。

設置費用だけで「◯年で元が取れます」という計算は、大事な費用が抜けてる可能性があります。

一番気をつけて。悪い売り方をする業者

太陽光の強引な訪問販売には注意が必要

そして、ここが一番言いたいところです。

強引な訪問販売が、いまだに多い

太陽光業界には、残念ながら強引な売り方をする業者が存在します。

  • アポなしの訪問販売で長時間居座る
  • 「今日契約すれば特別価格」と急かす
  • 「このあたりで工事してるので、ついでに安く」

国民生活センターには、太陽光関連の相談がいまだに多く寄せられてるそうです。

はっきり言います。「今日だけ」「特別に」と急かす業者からは、買わないでください。

本当にいい商品なら、急かす必要がないんです。急かすのは、比較されたら困るから。

「絶対元が取れます」に根拠を求めて

もう一つの危険なトークが、「絶対元が取れます」という断定。

ここまで読んでもらえたら分かる通り、太陽光のコスパは家の条件次第です。屋根の向き、日照、電気の使い方、設置費用——これらを見ずに「絶対」と言い切る営業は、信用できません。

もし「元が取れます」と言われたら、こう聞いてください:

  • 「その計算に、パワコンの交換費用は入ってますか?」
  • 「撤去費用は入ってますか?」
  • 「うちの屋根の向きと日照で計算してますか?」

まともな業者なら、ちゃんと答えられます。答えに詰まる業者は、そういうことです。

屋根の施工品質も、業者次第

さっき書いた「雨漏りリスク」も、結局は業者の施工品質次第です。

  • 施工実績が豊富か
  • 施工保証(雨漏り保証)があるか
  • 屋根材に合った工法を使うか

安さだけで業者を選ぶと、屋根で泣くことになりかねません。太陽光は「何をつけるか」より「誰につけてもらうか」の方が大事、と言ってもいいくらいです。

じゃあ、どう判断すればいい?

太陽光は家の条件次第で冷静に判断する

「結局、つけん方がええの?」と思った方へ。

「絶対やめとけ」とは言いません

正直に言うと、僕は「絶対やめとけ」とは言いません

条件が噛み合えば、太陽光がプラスになる家もあります。

  • 屋根の向き・日当たりがいい
  • 昼間に家で電気をよく使う
  • 適正な価格で、信頼できる業者に施工してもらえる

こういう条件が揃うなら、検討する価値はあります。

ただ、「誰でも絶対お得」の時代は終わった。そして、屋根に穴を開けるリスクは全員にある。だから僕は慎重派です。

判断する時のチェックポイント

もし検討するなら、最低限これだけは:

  1. 相見積もりを取る(1社の話だけで決めない)
  2. パワコン交換・撤去費用込みでシミュレーションしてもらう
  3. 施工実績と雨漏り保証を確認する
  4. 訪問販売の即決は絶対にしない
  5. 迷ったら、家を建てた工務店・HMにも相談する

特に最後。家を建てた業者なら、あなたの家の屋根の状態を分かってます。「うちの屋根、太陽光つけて大丈夫?」と聞ける相手がいるのは、大きな安心です。

「つけない」も立派な選択肢

そして、忘れないでほしいのが——

「つけない」も、立派な選択肢だということ。

過去の記事「食洗機は後付けでキッチンごと交換!?」で書いた考え方で言うと、太陽光は「後付けできる設備」です。新築時に無理して決めなくても、後からつけられます(足場代などで割高にはなりますが)。

「今は見送って、制度や価格の様子を見る」——これも、冷静で賢い判断です。

まとめ

太陽光は冷静に判断材料を揃えて決める

長くなったので、まとめます。

売電で儲かる時代は終わった

  • 売電単価は2012年の42円 → 2026年度は24円(1〜4年目)、8.3円(5〜10年目)
  • 当初の3分の1以下。「載せるだけで儲かる」は過去の話
  • 「自家消費でお得」も、家の条件次第

施工管理が一番心配する「雨漏りリスク」

  • 太陽光は屋根に穴を開けて設置する工事
  • 施工が雑だと、数年後に雨漏りすることも
  • 屋根は家の寿命を左右する場所

見落とされる「隠れた費用」

  • パワコン交換:15年で20〜30万円
  • 撤去・廃棄:10〜15万円以上
  • 「元が取れるか」は全部込みで計算する

悪い売り方をする業者に気をつけて

  • 「今日だけ」「特別に」と急かす業者からは買わない
  • 「絶対元が取れます」には根拠を求める
  • 施工品質・雨漏り保証を必ず確認

判断のポイント

  • 相見積もり、全費用込みのシミュレーション
  • 家を建てた業者にも相談
  • 「つけない」「様子を見る」も立派な選択肢

太陽光そのものが悪いわけではありません。条件が合う家には、メリットもあります。

ただ、「誰でも絶対お得」という売り方と、「屋根に穴を開けるリスク」を知らないまま契約するのだけは、避けてほしい。

急かされたら、逃げてください。迷ったら、比べてください。

それだけで、太陽光の後悔は、かなり防げます。

業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。

次回予告

次回も、現場で見てきた情報を、施主目線で翻訳してお届けします。

もしまだ読んでない方は、過去の記事もぜひ:

複雑な屋根の家、雨漏りで泣くな。「シンプルな屋根」が長く住める家の正解

現役施工管理が選ぶ「ええ業者」5つの特徴

食洗機は後付けでキッチンごと交換!?「仕込み」で防ぐ新築の後悔

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