引き渡し前にやること。設備と配管の確認(後編)

引き渡し前の設備・配管チェック 施工・工事

過去の記事「引き渡し前にやること。保証内容と傷の確認(前編)」では、保証内容の再確認と、目に見える傷の確認(外壁・床・壁)を解説しました。

今回は、その後編。

前編が「目に見える部分」のチェックだったのに対し、後編はもう少し踏み込んだ内容です。

  • 床下・天井の点検口を開けて中を見る
  • 水圧の確認
  • 排水(配管)の流れの確認

正直に言うと、ここまでやる施主さんは少数派です。多くの場合、業者は「ここまで見るの?」と少しびっくりするはず。

でも、これらをちゃんと確認することで、業者に「この施主は知ってるぞ」と一目置かれます。結果、その後の対応も丁寧になる効果も期待できる。

何より、入居後にストレスなく暮らせる家かどうかが、ここで分かります。

「前編は読んだ、もう少し踏み込んで確認したい」って施主さん、必読です。

後編の確認は「少数派」、だからこそ価値がある

引き渡し前の踏み込んだチェックは価値がある

まず、後編の位置づけを整理します。

ここまでやる施主は、ほぼいない

正直、引き渡し前に「点検口を開けてください」「水圧を確認させてください」「トイレに紙を流して配管確認させてください」と言う施主は、ほぼいません。

多くの場合、業者の流れに沿って:

  • 設備の使い方の説明を聞く
  • 鍵を受け取る
  • 保証書を受け取る
  • サインして終了

…で完了します。

でも、ここまで見るからこそ分かることがある

ただ、後編で紹介する確認ポイントは、いずれも入居後の暮らしに直結するものです。

  • 床下・天井の状態は、家の長期的な健康に関わる
  • 水圧は、毎日の使い心地に影響
  • 排水の流れは、長期的なトラブルの種

「業者を信頼してる」のと、「自分で確認する」のは別の話。せっかくの最後の機会なので、しっかり確認しておきましょう。

業者にも「いい意味で」一目置かれる

ちょっと面白い副次効果もあります。

これらのチェックを施主が自分から提案すると、業者・職人さんは「この施主、なかなか知ってるな」と感じるんです。

  • 「お、この客は分かってる」
  • 「適当な仕事はできない」
  • 「ちゃんと対応しないと」

結果、その後のアフター対応も丁寧になることが多いです。

「信頼できる業者を選んでる」のが前提ですが、それでも施主が知識を持ってると、いい関係性ができるんです。

確認ポイント①床下点検口を開けてみる

床下点検口を開けて内部を確認する

最初の確認ポイントは、床下点検口です。

多くの家には、床下点検口がある

新築の家には、たいてい床下点検口があります。

  • キッチンの床下収納
  • 洗面所の床下点検口
  • 押し入れの床下

これらは「普段は使わないけど、メンテのために必要な開口部」です。床下収納として使ってる家庭も多いですね。

開けて、中の状態を確認する

引き渡し前に、この床下点検口を開けて、中を見てください。

確認するポイント:

  • 掃除がきちんとされてるか
  • 木くずや切れ端が残ってないか
  • 配管がきれいに整理されてるか
  • 水漏れの跡がないか

普段は隠れる部分だからこそ、業者の仕事ぶりがそのまま出ます。

「見えないところ」の状態で、業者の質が分かる

家づくりでよく言われるのは、「見えないところに業者の本性が出る」ということ。

  • 見える部分は、当然きれいに仕上げる
  • 見えない部分も、ちゃんと掃除してる業者 → 質が高い
  • 見えない部分が雑な業者 → 全体の仕事も推して知るべし

過去の記事「基礎で30年後に泣くな」でも、整理整頓された現場が業者の質を表すと書きました。床下点検口も、同じ哲学です。

「ちゃんと掃除されてる」家なら、業者は丁寧な仕事をしてる証拠。

確認ポイント②天井点検口も同じく確認

天井点検口も開けて状態を確認する

床下と同じく、天井点検口も確認します。

天井点検口がある場所

多くの家では、点検口は天井にもあります。

  • 浴室の天井
  • クローゼットの中
  • 廊下の天井

普段は気にしない場所ですが、ちゃんと開けて中を見てください。

確認するのは、床下と同じ

天井点検口で確認するのも、床下と同じ:

  • 掃除がきちんとされてるか
  • 断熱材がきっちり充填されてるか
  • 配線が綺麗に整理されてるか
  • 雨漏りの跡がないか

特に断熱材の充填状態は、過去の記事「高気密高断熱、本当に正解か?」でも触れた、住み心地に直結するポイントです。

業者が嫌がらない範囲で確認

「点検口、開けて見せてもらえますか?」とお願いすれば、信頼できる業者なら快く対応してくれます。

もし業者が嫌がる素振りを見せたら、それ自体が「何か見せられない理由がある」かもしれません。

そういう意味でも、点検口の確認は業者の質を測るリトマス試験紙にもなります。

確認ポイント③水圧の確認

引き渡し前は水圧の加減を確認する

次は、水圧の確認です。

蛇口を全部、実際に使ってみる

新築の家では、引き渡し前に全部の蛇口を実際に使ってみてください。

  • キッチンの水・お湯
  • 洗面所の水・お湯
  • 浴室の水・お湯・シャワー
  • トイレ
  • 屋外の水栓

ただ「水が出る」だけじゃなく、水圧の加減をしっかり確認します。

水圧の「加減」が大事

水圧で確認するのは:

  • 水の出が弱すぎないか
  • シャワーの勢いは十分か
  • お湯と水を同時に使った時の出方
  • 2階の蛇口の水圧は十分か(2階建ての場合)

「水が出るからOK」じゃなく、「気持ちよく使えるか」が大事。

入居後に「水圧が弱くてシャワーが頼りない」と気づいても、また業者を呼ぶ手間と時間を浪費してしまいます。引き渡し前に確認しておきましょう。

ストレスなく使える家かどうか

毎日使う水道。その水圧の良し悪しは、暮らしの満足度に直結します。

  • 水圧が十分 → ストレスフリーで使える
  • 水圧が弱い → 毎日小さなストレスが積み重なる

引き渡し前に、実際に使ってみることで、入居後のストレスを未然に防げます。

確認ポイント④排水の流れをチェック

トイレに紙を流して排水の流れを確認する

最後は、現役の施工管理士として強くおすすめしたい、排水の流れの確認です。

トイレットペーパーを流して、外部配管をチェック

具体的なやり方は、これです:

トイレットペーパーを流して、外部の配管を見に行く。

家の外には、排水マス(下水の点検口)があります。トイレを流すと、その水が外部の配管を通って排水マスに流れていきます。

引き渡し前に、

  1. トイレットペーパーを多めにトイレに流す
  2. 外に出て、排水マスを開ける
  3. 水とペーパーがスムーズに流れてくるか確認

これで、外部の配管が正しく勾配で施工されてるかが分かります。

配管は「勾配」で水を流す

家の排水配管は、重力で水を流す仕組みです。配管がほんの少し下向きに傾いてること(=勾配)で、水が自然に流れていく。

  • 正しい勾配 → 水もペーパーもスムーズに流れる
  • 勾配が不十分 → 水は流れるけど、ペーパーが途中で詰まる
  • 逆勾配(下向きじゃない) → 水が溜まる、最悪逆流

つまり、水だけ流しても勾配の良し悪しは分からないんです。少し重さのあるトイレットペーパーを流すことで、初めて勾配の精度が見えてきます。

施工が雑な業者だと、ここが甘い

これは現場の本音ですが、配管工事の精度は業者によって差があります。

  • 丁寧な業者:勾配を正確に取って施工する
  • 施工が雑な業者:配管の勾配が甘いことがある

特に、施工が雑な業者だと、ペーパーの流れがスムーズじゃないことがあります。

引き渡し前に確認しておけば、不具合があった時に業者に直してもらえるんです。

入居後に「トイレがよく詰まる」となると、原因究明から大変。引き渡し前のこの一手間で、長期的な安心が買えます。

これをやると、業者に一目置かれる

ちょっと面白い話。

このチェック方法、業者・職人さんから見ると「お、知ってるな」となるんです。

  • 「水圧見て」「点検口開けて」も、知ってる施主は時々いる
  • でも「トイレットペーパー流して外部配管確認」は、ほぼいない
  • これを言う施主は「ただ者じゃない」と思われる

結果:

  • 業者「適当な仕事はできないな」
  • 業者「アフターも丁寧にやらないと」
  • 業者「次の現場でもこの施主の話、職人さんに共有しとこう」

業者にいい緊張感を与えるっていう、副次効果もあるんです。

まとめ(後編)

引き渡し前の確認で安心の入居を

後編のポイントを、まとめます。

後編の確認ポイント

  1. 床下点検口を開けてみる(中の掃除状態を確認/「見えないところ」に業者の質が出る)
  2. 天井点検口も同じく確認(掃除・断熱材・配線をチェック/業者が嫌がるなら何か理由がある)
  3. 水圧の確認(全部の蛇口を実際に使ってみる/ストレスなく使える家かどうか)
  4. 排水の流れをチェック(トイレットペーパーを流して外部配管を確認/勾配の精度が見える/業者に「知ってるな」と思わせる効果も)

前編・後編まとめ

前編・後編を通して、引き渡し前の確認ポイントは:

  • 保証内容の再チェック
  • 目に見える傷(外壁・床・壁)
  • 床下・天井点検口の中
  • 水圧
  • 排水の流れ

これだけ確認すれば、引き渡し後に「こんなはずじゃなかった」となるリスクは、大きく減ります。

「業者を信頼してる」のは大前提。でも、自分でも確認することで、業者にいい緊張感が生まれる。それが、長期的にいい家・いい関係を築くコツです。

「引き渡しの日は1時間で終わるんで」と業者に言われても、施主から「もう少しじっくり見たい」と伝えれば、対応してくれます。

時間を惜しまず、しっかり確認してください。新築は、人生に何度もあるイベントじゃないんだから。

業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。

次回予告

次回は、また現場で見てきた情報を、施主目線で翻訳してお届けします。

もしまだ読んでない方は、過去の記事もぜひ:

引き渡し前にやること。保証内容と傷の確認(前編)

基礎で30年後に泣くな。プロが教える「素人でも分かる」基礎工事の手抜きを見抜く方法

高気密高断熱、本当に正解か?現役一級建築施工管理技士が暴露する4つの盲点

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