家づくりで、最初の大きな選択になるのが「土地選び」。
土地を決めないと、家の設計も始められない。家づくり全体の流れの中で、施主がいちばん最初に大きな判断を迫られる場面です。
でも、土地選びは難しい。
不動産屋さんの言葉、ネットの情報、家族の希望、予算、利便性…考えることが多すぎて、気がついたら「とりあえず買ってしまった」というケースも少なくありません。
そして、住み始めてから気づくんです。
「もっとよく考えれば良かった」
「この土地、こんなにメンテ大変なん?」
「え、外構にこんなにお金かかるの?」
土地選びの後悔は、建ててから取り返しがつかないので、本当に厄介。
今回は、現場で長年見てきた立場から、施主に伝えたい「買って後悔しやすい土地の特徴」を3つ紹介します。
「土地、これから探す」「今、候補の土地を検討中」って施主さん、必読です。
土地選びは「家づくりの土台」

まず、土地選びの位置づけを整理します。
土地選びは、最初で最大の選択
家づくりの流れって、こんな感じです:
- 土地を探す
- 業者を選ぶ
- 設計する
- 建てる
最初の「土地を探す」が、実は最大の選択だったりします。
なぜなら:
- 土地は後から変えられない
- 土地の条件で、家の設計が決まる
- 土地の状態で、追加工事の費用が変わる
- 土地の周辺環境で、住み心地が左右される
「いい家」を建てるには、まず「いい土地」を選ぶ必要があるんです。
でも、施主は「土地のプロ」じゃない
問題は、施主は土地のプロじゃないこと。
- どんな土地がいいのか分からない
- 不動産屋さんの言葉を鵜呑みにしがち
- ネットの情報は地域差が大きい
- 「価格」と「立地」だけで判断しがち
結果、建てる側から見たら「あちゃ〜」っていう土地を、選んでしまうことがあるんです。
現場目線で「これはアカン」がある
家を建てる現場の人間として、土地を見ると「この土地、買ったらあかんやろな」と感じることがあります。
- 設計時に苦労する土地
- 施工時にコストが膨らむ土地
- 住んでからメンテが大変な土地
今回は、その中でも特に多い3つの特徴を解説します。
後悔しやすい土地①道路と土地に落差がある

最初に紹介するのが、道路と土地に落差がある土地です。
どういう土地?
具体的には、こういう土地:
- 道路から土地が一段高い(または低い)
- 土地に入るのに階段やスロープが必要
- 道路と土地の境目に擁壁(ようへき)がある
「ちょっと高台で見晴らしがいい」「プライバシーが保てる」って好印象を持つ施主さんも多いです。
確かに、メリットもあります。
でも、外構費がめっちゃ割高になる
ただ、施工目線では、こういう土地は外構費がかなり割高になります。
具体的には:
- 擁壁の補強や新設
- 階段やスロープの設置
- 駐車場の確保(平地より工夫が必要)
- 土留めの工事
これら、平らな土地と比べて数十万円〜数百万円のコストアップになることも珍しくありません。
施主が見落としがちなコスト
問題は、土地の販売価格には、これらのコストが含まれてないこと。
施主は:
- 土地代:◯◯万円
- 建物代:◯◯万円
- これで予算組めるな!
…と考えがちですが、実際は外構費が大きく膨らんで、「総予算オーバー」になるパターンが多いんです。
過去の記事「HMの『◯◯円から』表記、本当の総額」でも書きましたが、家づくりは土地代と建物代だけじゃない。外構費もしっかり見積もる必要があります。
検討時のチェックポイント
道路と土地に落差がある土地を検討するなら:
- 外構費の見積もりを必ず取る
- 「この土地で家を建てたら、外構いくらかかるか」を業者に確認
- 平らな土地とのコスト差を把握
- それでも予算に合うか判断
「見晴らしが良くて気に入った」だけで決めると、後で予算オーバーで泣くことになります。
後悔しやすい土地②裏がすぐ山・森

次は、裏がすぐ山や森になってる土地。
「自然豊かでいい」と思いがちだけど
田舎や郊外の土地で、こういう物件をよく見ます:
- 家の裏がすぐ山
- 裏が雑木林・森
- 自然に囲まれた立地
「自然豊かでいい」
「鳥のさえずりが聞こえる」
「緑に囲まれた暮らし」
施主さんが憧れるシチュエーション。確かに、メリットもあります。
でも、落ち葉と枝が「無茶苦茶」積もる
ただ、現実は厳しい。
裏が山・森の土地で、住み始めてから多くの施主が驚くのがこれ:
- 落ち葉と枝が、想像を超えて積もる
- 秋:毎日大量の落ち葉
- 冬:強風で枝が飛んでくる
- 春:花粉や新緑のクズ
- 夏:虫が大量発生
「月1回くらい掃除すればいいかな」と思ってると、現実は週に何度も掃除が必要になります。
雨どい・排水溝の詰まり問題
落ち葉が積もるだけならまだしも、深刻なのが:
- 雨どいが詰まる
- 排水溝が落ち葉でいっぱい
- 屋根の谷部分に枝が溜まる
過去の記事「複雑な屋根の家、雨漏りで泣くな」でも触れましたが、雨水の流れが妨げられると、雨漏りのリスクが上がります。
裏が山・森の土地は、雨どい掃除の頻度がぐっと増えるんです。
検討時のチェックポイント
裏が山・森の土地を検討するなら:
- 季節ごとの状況を確認(秋に下見するのがおすすめ)
- 近所の家の屋根や雨どいの状態を見る
- メンテナンスの頻度と手間を覚悟する
- 「自然豊か」のロマンと、現実のメンテを天秤にかける
「自然に囲まれて素敵」というイメージだけで決めると、後悔します。
後悔しやすい土地③裏が急な傾斜・崖

最後は、裏が急な傾斜・崖になってる土地。
これ、3つの中でも一番深刻な問題を含んでます。
「眺めがいい」「高台で気持ちいい」のリスク
崖の上にある土地、または崖の下にある土地。
- 「眺めがいい」
- 「見晴らしが最高」
- 「プライバシーが保てる」
確かに、景観面のメリットはあります。
でも、施工目線でこういう土地を見ると、「これは危ない」と感じることが多いんです。
災害リスクが高い
崖や急な傾斜地の最大の問題は、災害リスク。
- 大雨での崖崩れ
- 地震での地盤の崩落
- 長年の浸食での地盤の弱体化
「何十年も大丈夫だったから」と言われても、近年の異常気象を考えると、いつ何が起きてもおかしくない。
特に、斜面の下にある土地は、上から土砂や石が落ちてくるリスクがあります。
メンテナンスが大変
災害リスクだけじゃなく、日常のメンテも大変です。
- 斜面の雑草・木の手入れ
- 擁壁の点検・補修(数十年で劣化する)
- 斜面からの雨水の流れ管理
- 法面(のりめん)の維持
これらは、業者に頼むと毎回それなりのコストがかかります。
特に、擁壁が古くなると、作り直しに数百万円かかることもあります。
検討時のチェックポイント
裏が急な傾斜・崖の土地を検討するなら:
- 地盤調査の結果を必ず確認
- 既存の擁壁の年数と状態を見る
- ハザードマップで土砂災害警戒区域か確認
- 周辺の過去の災害履歴を調べる
- 火災保険・地震保険の追加費用を試算する
「見晴らしがいい」「気に入った」だけで決めるには、リスクが大きすぎる土地です。
土地選びで施主が意識すべきこと

3つの「後悔しやすい土地」を見てきました。共通するのは:
「土地の販売価格」と「実際にかかるトータルコスト」が大きくズレる土地は要注意、ということ。
土地代だけで判断せず、家を建てた後の現実まで考える必要があります。
土地代以外のコストを試算する
土地を検討する時、土地代以外のコストも必ず試算してください:
- 外構費(落差・形状による加算)
- 地盤改良費(地盤による加算)
- 擁壁工事費(高低差や崖がある場合)
- 接道工事費(道路との関係)
- 解体・整地費(古家がある場合)
これらを含めて、「この土地で本当に予算内に収まるか」を判断します。
業者に「この土地どう思う?」と聞く
土地を購入する前に、家を建てる予定の業者に相談するのがベスト。
過去の記事「設計士より先に工務店に相談しろ」でも書きましたが、信頼できる工務店なら、土地の良し悪しを正直に教えてくれます。
- 「この土地なら、外構費が◯万円くらい余計にかかります」
- 「この土地は地盤改良が必要そうですね」
- 「裏の傾斜、ちょっと気になりますね」
不動産屋さんは土地を売るのが仕事。業者は家を建てるのが仕事。立場が違うから、見る視点も違います。
「100点の土地」はない、と知る
最後に、これは現実的な話。
100点満点の土地は、ほぼ存在しません。
- 安くて立地もよくて広い → そんな土地は出てもすぐ売れる
- 何か妥協が必要なのが普通
- 「80点くらいでOK」と割り切る
ただし、今回紹介した3つの特徴は「妥協してはいけない部分」だと、僕は思います。
道路との落差、裏の山・森、裏の崖。これらは家を建てた後に取り返しがつかない部分なので、慎重に判断してください。
まとめ

長くなったので、まとめます。
土地選びで後悔しやすい3つの土地
- 道路と土地に落差がある土地…外構費がめっちゃ割高になる/土地代に隠れたコスト
- 裏がすぐ山・森の土地…落ち葉・枝が無茶苦茶積もる/雨どいの詰まり、メンテの手間
- 裏が急な傾斜・崖の土地…災害リスクが高い/メンテも大変、擁壁の補修コストも
施主が意識すべきこと
- 土地代以外のコストを試算する
- 業者に「この土地どう思う?」と聞く
- 100点の土地はない、でも妥協してはいけない部分もある
土地選びは、家づくりの中で一番最初の大きな選択。そして、後から取り返しがつかない選択でもあります。
「価格が安いから」「立地が気に入ったから」だけで決めると、住み始めてから後悔することになります。
不動産屋さんの言葉だけじゃなく、家を建てる側の意見も聞いて、慎重に判断してください。
業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。
次回予告
次回も、現場で見てきた情報を、施主目線で翻訳してお届けします。
もしまだ読んでない方は、過去の記事もぜひ:


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