収納は必要最小限でいい。なぜ多い家ほど物が増えるのか

収納は必要最小限でいい アイキャッチ 設計・間取り

家づくりで、「収納」は施主さんが必ず悩むテーマです。

最近の風潮は、はっきりしてます:

「収納は多い方がいい」
「ウォークインクローゼット、パントリー、シューズクローク、全部欲しい」
「こんなところにも収納があったら便利」

雑誌でもSNSでも、「収納たっぷりの家」が人気ですよね。

でも、たくさんの家を見てきた立場から、正直に言わせてください:

「収納は、多ければいいってもんじゃありません」

これ、家づくりの常識とは逆の話かもしれません。

でも、いろんな家を見てきて、はっきり感じることがあるんです。収納が多い家ほど、物が増える。そして、収納の奥は、ほぼ使わないもので埋まっていく。

今回は、「収納は必要最小限でいい」という、いつもとは違う角度からの話をします。

「収納をたっぷり作ろうと思ってる」って施主さん、家を建てる前に、ぜひ読んでください。

「収納は多い方がいい」という風潮

最近は収納が多い方がいいという風潮がある

まず、最近の家づくりトレンドを整理します。

収納たっぷりが「正義」になってる

ここ数年、家づくりで「収納の充実」が大きなテーマになってます。

  • ウォークインクローゼット
  • パントリー(食品庫)
  • シューズクローク
  • 小屋裏収納
  • 階段下収納
  • ファミリークローゼット

雑誌やSNSでは、「こんなにたくさん収納があります!」が、いい家の証みたいに語られてます。

「収納が足りない」は後悔ランキング上位

確かに、家づくりの後悔ランキングで「収納が足りなかった」は、よく上位に入ります。

だから施主さんは、「収納は多めに作っておこう」と考える。

その気持ち、よく分かります。

でも、本当にそうか?

ただ、ここで立ち止まって考えてほしいんです。

「収納が足りなかった」という後悔は、本当に「収納が少なすぎた」のが原因でしょうか?

たくさんの家を見てきて、僕が感じるのは——収納をいくら増やしても、「足りない」と感じる人は感じるということ。

なぜなら、収納を増やすと、物も増えるからです。

収納が多いと、何が起きるか

収納が多いと物が増えていく

収納をたっぷり作ると、実際に何が起きるか。正直にお伝えします。

結論:いらないものが増えるだけ

身も蓋もない言い方ですが、結論はこれです。

収納が多いと、いらないものが増えるだけ。

人間って、スペースがあると、その分だけ物を詰め込む生き物なんです。

  • 収納が少ない家:物を厳選する
  • 収納が多い家:「まだ入るから」と物を増やす

「収納が足りない」んじゃなく、「収納がある分だけ物を持ってしまう」。これが現実です。

スペースがあると、限界まで詰め込む

これ、多くの家で起きてる現象です。

  1. 収納を作る → 最初は余裕がある
  2. 「まだ入るな」と物を入れる
  3. だんだん埋まっていく
  4. 数年後、収納は満杯
  5. 「収納が足りない!」と感じる

つまり、収納をどれだけ増やしても、結局「足りない」と感じるループにハマるんです。

収納の奥は「ほぼ使わないもの」で埋まる

そして、収納が多い家のもう一つの特徴。

収納の奥は、ほぼ使わないもので埋まります。

  • 「いつか使うかも」のもの
  • 「もったいなくて捨てられない」もの
  • 存在すら忘れてるもの

収納の手前は、よく使うものが出入りします。でも、奥のスペースは、ほぼ「物の墓場」になります。

「こんなところにも収納があって便利!」と思って作った収納が、結局使わないものの保管場所になる。これ、本当によくある話です。

「客間」という名の物置部屋

客間が物置部屋になっている家は多い

収納の話で、特に伝えたいのが「客間」です。

1階の客間は、高確率で物置になる

多くの家には、「客間」や「和室」があります。「お客さんが来た時のために」と作る部屋です。

特に、1階の客間。

でも、たくさんの家を見てきて、はっきり言えることがあります:

1階の客間は、高確率で「物置部屋」になります。

「思い出という名の不用品」で溢れる

なぜ客間が物置になるのか。

  • 客間は「普段使わない部屋」
  • 普段使わないから、物を置きやすい
  • 「とりあえずここに置いとこう」が積み重なる
  • 気づけば、部屋が物で埋まってる

しかも、置かれる物の多くは「思い出という名の不用品」。

  • 子供の使わなくなったもの
  • 「捨てられない」記念品
  • 来客用の使ってない布団や食器

「お客さんのための部屋」が、いつのまにか「捨てられない物の倉庫」になる。

あるあるエピソード

たくさんの家を見てきて、こんな光景を何度も見ました(抽象化してます):

ある家には、立派な1階の和室(客間)がありました。

新築当時は、きれいに片付いた、いい和室でした。

でも、数年後にその家を訪れると——和室は段ボールや使わない家具、子供の古いおもちゃで埋まってました。

ご家族いわく『最初は客間として使ってたけど、いつのまにか物置になってしまった』。

これ、特別な家の話じゃありません。多くの家で起きてる、ごく普通の光景なんです

なぜ「必要最小限」がいいのか

収納が最小限だと家がすっきり片付く

じゃあ、収納はどう考えるべきか。僕の提案は「必要最小限」です。

物が増えない

収納が必要最小限だと、そもそも物が増えません。

  • 収納に限りがある → 物を厳選する
  • 新しい物を買う時 → 「置く場所あるか」を考える
  • 結果、物が増えにくい

「収納がないから物を持たない」——これ、実はすごく健全な状態です。

家が片付く、掃除がラク

物が少ないと、当然ですが:

  • 家が片付く
  • 掃除がラク
  • 探し物が減る
  • 部屋が広く使える

「収納をたくさん作って、物をしまい込む」より、「そもそも物を減らす」方が、家は快適になります。

「収納を作るコスト」も抑えられる

見落としがちですが、収納にもコストがかかります。

  • ウォークインクローゼット1部屋分のスペース
  • 棚や建具の費用
  • その面積の建築費

収納を必要最小限にすれば、その分のコストを抑えられる。または、そのスペースをリビングや別の用途に回せる。

17記事目「HMの広告と総額の差」でも書きましたが、家づくりのコストは「あれもこれも」で膨らみます。収納も、その一つです。

ただし、正直に言うと

片付けが得意な人は収納が多くてもいい

ここまで「収納は最小限でいい」と書いてきましたが、正直に補足します。

「片付けられる人」は、収納が多くてもいい

これは、人によります。

世の中には、しっかり物を管理できる人もいます。

  • 定期的に不用品を処分できる
  • 「いつか使うかも」を持たない
  • 物の総量をコントロールできる

こういう人は、収納が多くても問題ありません。むしろ、たっぷりの収納をうまく活用できます。

問題は「物を減らせない人」

問題は、大半の人が「物を減らすのが苦手」だということ。

  • 「もったいない」で捨てられない
  • 「いつか使うかも」で取っておく
  • 物の総量が、どんどん増えていく

正直に言うと、僕も含めて、多くの人がこのタイプです。

だからこそ、「収納を増やす」より「物が増えにくい家にする」方が、現実的なんです。

大事なのは「自分のタイプを知ること」

結局、収納をどうするかは、自分がどっちのタイプかで決まります。

  • 物をしっかり管理できる人 → 収納多めでもOK
  • 物を減らすのが苦手な人 → 収納は必要最小限に

家を建てる前に、正直に自分のタイプを考えてみてください。

「収納がたくさんあれば片付く」と思ってるなら、それは少し危険。収納があっても、片付けられない人は片付けられないんです。

まとめ

必要最小限の収納ですっきり暮らす

長くなったので、まとめます。

収納についての本音

  • 「収納は多い方がいい」は、最近の風潮
  • 収納が多いと、いらないものが増えるだけ
  • スペースがあると、人は限界まで詰め込む
  • 収納の奥は「ほぼ使わないもの」で埋まる
  • 1階の客間は、高確率で物置部屋になる

「必要最小限」のメリット

  • 物が増えない
  • 家が片付く、掃除がラク
  • 収納を作るコストも抑えられる

ただし、正直に言うと

  • 物をしっかり管理できる人は、収納多めでもOK
  • 物を減らすのが苦手な人は、必要最小限に
  • 大事なのは「自分のタイプを知ること」

「収納はたくさんあった方がいい」——この風潮に、なんとなく流されてませんか?

たくさんの家を見てきて、はっきり言えるのは、収納が多い家ほど、物が増えて、片付かなくなるということ。

家を建てる前に、考えてみてください。「収納を増やす」のが目的なのか、「すっきり暮らす」のが目的なのか。

すっきり暮らしたいなら、収納を増やす前に、まず「物を増やさない意識」を持つことです。

業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。

次回予告

次の記事では、また現場で見てきた情報を、施主目線で翻訳してお届けします。

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