家の間取りを考えるとき、水回りの配置は必ず話題になります。
キッチン、洗面、浴室、トイレ。どこに置くか、どう並べるか。打ち合わせでも、けっこう時間をかけて考えるところだと思います。
そして、どの情報を見ても出てくるのが、この2つです。
- 動線を優先しましょう
- 水回りはまとめましょう
どちらも正しいです。まったく異論はありません。
ただ、現場で配管を通してきた立場から言うと、もう一つ考えてほしいことがあります。それは、まとめた中での「並び順」です。
今回は:
- 水回りをまとめた上で、お風呂をどこに置くか
- 2階に水回りを置くとき、どこまで気にすればいいか
- 2階の排水音を防ぐ方法
を、配管目線でお伝えします。
まとめるのは正しい。でも「並び順」がある

まず、「水回りはまとめた方がいい」という話から。
まとめると、配管がコンパクトになる
これは、その通りです。
水回りが1箇所に集まっていれば、配管の距離が短くて済みます。配管が短ければ、工事費も抑えられますし、構造もシンプルになる。将来のメンテナンスもしやすくなります。
キッチン、洗面、浴室、トイレ。これらが近い場所に集まっている間取りは、配管の面でも合理的です。
その上で、お風呂を一番「上流」に
ここからが本題です。まとめた上で、並び順を考えてみてください。
おすすめは、お風呂を一番上流(水上:みずかみ)に置くことです。
排水は、上流から下流へ流れていきます。その一番上に、お風呂を持ってくる。すると、こういうことが起こります。
お風呂は毎日入りますよね。そして浴槽のお湯を、一気に流します。
この「一気に流す」というのが、実は大事なんです。かなりの水量が、勢いよく配管を通っていくわけです。
毎日の入浴が、配管の洗浄になる
つまり、毎日お風呂に入るたびに、配管が洗浄されているような状態になります。
- 浴槽のお湯は量が多い
- 一気に流れるので、勢いがある
- その水が、下流の配管を通っていく
これが毎日続くので、汚れが溜まりにくく、詰まりにくくなります。
逆に、お風呂が一番下流にあると、この効果が得られません。上流の配管は、少量ずつの排水しか通らないことになります。
間取りを考えるとき、動線ばかりが注目されますが、こういう視点もあるということです。もし可能なら、「お風呂を一番上流に」と設計の人に伝えてみてください。
2階の水回りは、そこまで神経質にならなくていい

次に、2階に水回りを置く場合の話です。
「1階の真上」でなくても大丈夫
「2階に水回りを置くなら、1階の水回りの真上にしないと配管に無駄が出る」——こういう話をよく聞きます。
確かに、真上に揃えるのが一番無駄はありません。ただ、現場の感覚で言うと、そこまでピンポイントに合わせなくても大丈夫です。
たとえば、1階のトイレ付近くらいの位置であれば、そこまで大きなロスにはなりません。間取りの都合で多少ずれても、問題なく納まります。
ただし、まったく違う場所は弊害が出る
一方で、1階の水回りとまったく違う場所に2階の水回りを置くと、話が変わってきます。
2階の排水は、1階の天井裏を通って下りてきます。でも、そこには梁があります。梁を避けながら、しかも排水に必要な勾配(傾き)を確保しなければいけません。
距離が長くなると、勾配を取るために配管がどんどん下がっていきます。その結果——1階の天井を下げなければいけなくなることがあります。
天井が低くなると、部屋の印象も変わります。「間取りの都合で2階の水回りをこっちに」という判断が、1階の天井高に影響することがある、というのは知っておいてください。
2階の排水音は、こう防ぐ

2階に水回りを置くとき、もう一つ気になるのが排水音です。
防音型の配管を使う
2階で水を流すと、その音が1階に響くことがあります。特に、寝室やリビングの上に水回りがあると、気になるかもしれません。
対策としては、防音型の配管を使う方法があります。音を抑える構造になっているので、普通の配管より静かです。
一番いいのは、配管をすぐ外に出すこと
ただ、僕が一番いいと思うのは、2階の排水配管を、すぐに外部へ出してしまう方法です。
- 2階で排水を受けたら、なるべく早く外壁の外へ
- 外で縦の配管(縦管)を下ろす
こうすると、こんなメリットがあります。
- 音が家の中に響かない
- 将来、配管の修理がしやすい
家の中を通っている配管は、いざ何かあったときに、壁や天井を壊さないと触れません。外に出ていれば、外から作業できます。将来の修理まで考えると、外を通す方が楽です。
ただし、給水管は外に出さない
一つ注意があります。同じ配管でも、給水管は外に出さない方がいいです。
理由は、凍結の恐れがあるから。笑 排水は使うときだけ水が流れますが、給水管は常に水が入っています。外気にさらされると、寒い時期に凍って破裂することがあります。
排水は外でもいいけど、給水は中。ここは分けて考えてください。
まとめ

まとめます。
まとめるのは正しい。でも並び順もある
- 水回りをまとめると、配管がコンパクトになる
- その上で、お風呂を一番上流(水上)に
- 毎日の入浴で浴槽のお湯が一気に流れ、配管の洗浄になる
- 汚れが溜まりにくく、詰まりにくくなる
2階の水回りは、そこまで神経質にならなくていい
- 1階の真上に完全に揃えなくても大丈夫
- 1階のトイレ付近くらいならロスは小さい
- ただし、まったく違う場所だと梁と勾配の問題が出る
- 最悪、1階の天井を下げることになる
2階の排水音の対策
- 防音型の配管を使う
- おすすめは、配管をすぐ外に出して縦管を外に下ろす
- 音が響かないし、将来の修理もしやすい
- ただし給水管は凍結の恐れがあるので外に出さない
最後に、あまり心配しすぎなくていいことも書いておきます。
排水の勾配さえきちんと取れていれば、そこまで神経質になる必要はありません。今の配管や枡は性能がいいので、基本を押さえていれば大きな問題は起きにくいです。
水回りの間取りは、動線で考えるのが基本です。それは変わりません。ただ、そこに配管の視点を少し足すだけで、住んでからのトラブルが減らせます。
打ち合わせのときに、「お風呂は一番上流に置けますか?」と聞いてみてください。それだけで、何十年か先の詰まりにくさが変わってきます。
業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。


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