最近の家、雑誌やSNSを見てると、素敵な窓がよく登場しますよね。
- 天井近くまで届く大きなFIX窓
- 壁一面のガラス張り
- フルオープンで外と中が一体になる窓
- 吹き抜けの上のハイサイドライト
「こんな窓のある家、憧れる…」「オシャレで開放的で素敵」って思う施主さん、多いはず。
その気持ち、よく分かります。確かに、見た目はめちゃくちゃ素敵です。
でも、たくさんの家を見てきた立場から、正直に言わせてください:
「憧れだけで選ぶと、住み始めてから後悔する窓があります」
今回は、施工管理目線で「やめた方がいい」と思う窓を2つ紹介します。
- 手の届かない位置のFIX窓
- フルオープンの大開放窓・壁一面窓
どちらも、雑誌で見ると素敵。でも、毎日暮らす現実を考えると、見え方が変わってきます。
「素敵な窓のある家に憧れてる」「でも、本当に後悔しない?」って施主さん、必読です。
「素敵な窓」の落とし穴

まず、なぜ「素敵な窓」が問題になりやすいのか整理します。
オシャレな窓が人気の理由
ここ数年、家づくりで「窓のデザイン性」が大きなテーマになってます。
- 雑誌の表紙に出てくる素敵な家
- インスタで「いいね!」がつく家
- 建築家がデザインしたモデルハウス
これらに共通するのが、印象的な窓です。
- 大きなFIX窓
- 壁一面の窓
- 吹き抜けの高い窓
- フルオープンの開放窓
確かに、見た目は本当に素敵。施主さんが憧れる気持ちは、よく分かります。
でも、見た目と暮らしやすさは別
ここで立ち止まって考えてほしいのが、「見た目と暮らしやすさは別」ということ。
過去の記事「スタイリッシュな庇なし住宅、メンテ費で泣くな」や「複雑な屋根の家、雨漏りで泣くな」でも書きましたが、見た目を優先すると、機能を失うことがあります。
窓も同じです。「素敵な窓」が、住み始めてから「こんなはずじゃなかった」になるケース、本当に多いんです。
「憧れの窓」を選ぶ前に
今回紹介する2つの窓は、どちらも「雑誌で見ると素敵」「実際住んだら後悔しやすい」窓です。
- 手の届かない位置のFIX窓
- フルオープンの大開放窓・壁一面窓
施主さんが憧れるからこそ、現場目線で「ちょっと待って」と伝えたい内容です。
やめた方がいい窓①手の届かない位置のFIX窓

最初に紹介するのが、手の届かない位置にあるFIX窓です。
FIX窓って何?
「FIX窓」とは、開かない窓のこと。サッシとガラスが固定されてて、採光・眺望のためだけに設置される窓です。
- 開閉できない(=換気には使えない)
- 気密性が高い
- ガラス部分を大きく確保できる
- スタイリッシュな見た目
最近の家で、よく見るタイプの窓です。
メリットは確かにある
FIX窓には、ちゃんとメリットもあります:
- 明るさを確保できる
- 開放感が出る
- スタイリッシュな見た目
- 眺望を楽しめる
特に、階段の上や吹き抜けの上に大きなFIX窓を設置すると、家全体が明るく開放的に見えます。
雑誌でも、こういうFIX窓のある家がよく特集されてます。
でも、手の届かない位置はやめとけ
ここからが本題。
手の届かない位置のFIX窓は、絶対にやめた方がいいです。
理由は、4つあります。
①誇りのたまり場になる
高い位置のFIX窓は、ガラス面と額縁にホコリがたまります。普段は気にならなくても、光が差し込むとくっきり見える。
「せっかくの素敵な窓が、ホコリで汚い」——これ、住み始めてから気づくパターンです。
②ガラスが拭けない
高い位置だと、ガラスを拭けません。
- 脚立じゃ届かない
- 業者を呼ぶ必要がある
- 業者を呼ぶ費用がかかる
- 結局、汚れたまま放置
雑誌で見るFIX窓は、撮影前に業者がピカピカに磨いてます。日常生活では、あの状態を維持できません。
③日よけがロールスクリーンしかつけられない
高い位置の窓は、カーテンが付けられません。日よけ対策は、ロールスクリーンや電動ブラインドなどに限られます。
- ロールスクリーンの開け閉めが日々ストレスに
- 電動だと費用が高い
- そもそも、つけないと夏は強烈な日差しが入る
④カーテンと見た目が合わない
他の窓にカーテンを使ってる場合、高い位置のFIX窓だけ別の素材になります。
- 部屋全体の統一感が崩れる
- 「素敵な窓」が、インテリアの中で浮いてしまう
特にNGな設置場所
たくさんの家を見てきて、「ここはアカン」と思う設置場所はこれです:
- 階段の上(脚立も置けない、業者でも掃除が大変)
- リビングの吹き抜けの上(同上)
- 玄関ホールの上(吹き抜け含む)
これらの場所は、施主さんが憧れて選びがちな場所です。でも、現場目線では「やめとけ」の場所でもあります。
FIX窓は「手の届く高さ」が正解
FIX窓そのものを否定してるわけじゃありません。
手が届く高さなら、FIX窓も全然アリです:
- リビングの掃き出し窓の横の小さなFIX
- トイレの小窓
- 浴室の小窓
「FIX窓は使うな」じゃなく「手の届く位置で使え」が、現場の本音です。
やめた方がいい窓②フルオープンの大開放窓

2つ目は、リビングの大開放的な大窓、特に壁一面が窓になってるタイプ。
どんな窓?
雑誌やモデルハウスでよく見る、こんなタイプの窓:
- リビングの壁一面が窓
- フルオープンで外と中が一体になる
- 庭やテラスとつながる開放的な空間
- ホテルのスイートルームみたいな雰囲気
ハウスメーカーのモデルハウスや、建築家の作品集に、よく出てきます。
メリットも、ちゃんとある
この手の窓にも、ちゃんとメリットがあります:
- オシャレで開放感が抜群
- 外と中の一体感
- 採光もバッチリ
- 来客時の見栄えがいい
「こんなリビングで暮らしたい」と憧れる施主さん、多いはず。
でも、現実は「ほぼ開放しない」
ここが本題。
たくさんの家を見てきて、はっきり言えるのは:
「よっぽど開放感が好きな人以外は、ほぼ開放して使うことなくなる」
ということ。理由は、シンプルです。
①虫が入る
フルオープンにすると、虫が入ってきます。
- 夏は蚊、ハエ
- 季節によっては、いろんな虫
- 田舎なら、もっと深刻
「虫が入るから、結局開けない」——これ、住み始めてからの定番です。
②開け閉めがめんどくさい
大開放窓は、サイズが大きいので開け閉めが重い。
- 子供じゃ開けられない
- 雨が降りそうな時、慌てて閉めるのが大変
- 出かける時、全部閉める作業が地味に手間
毎日のことだと、この「めんどくさい」が積み重なります。
ホテルで一泊でもめんどくさいのに、家で毎日?
これ、僕がよく思うことなんですが——
ホテルに泊まった時、大きな窓のあるバルコニーって、よくありますよね。
一泊する時、最初は「わー素敵!」って開けます。でも、
- 夜、寒くなったから閉める
- 朝、また開ける
- 出かける前に閉める
- 帰ってきて、また開けるか考える
一泊するだけでも、ちょっとめんどくさく感じるんです。
それを、家で毎日やる。想像しただけで、「やらなくなるな」が目に浮かびませんか?
結局、普通の窓で十分なケースが多い
大開放窓は、「よっぽど開放感が好きな人」には合います。
- 自然に囲まれた立地で、虫が気にならない
- 庭と一体で使う生活スタイル
- 「毎日、外と中をつないで暮らす」マインド
こういう施主さんなら、大開放窓は本当に素敵な選択です。
でも、多くの施主さんは、普通の窓で十分だったりします。
- 普通の引き違い窓
- バルコニーへのアクセス用の窓
- リビングの掃き出し窓
「雑誌で見て憧れた」だけで大開放窓を選ぶと、住み始めてから「こんなに使わない窓に、こんなにお金かけたんか…」となります。
なぜ施主は「憧れの窓」に惹かれるのか

ここまで「やめとけ」と書いてきましたが、施主さんが惹かれる気持ちは、ちゃんと理由があります。
雑誌・SNSの影響
家づくりを始めると、施主さんは大量の情報に触れます:
- 住宅雑誌
- インスタ・Pinterest
- YouTubeの家づくり動画
- ブログの家づくり記録
そこに出てくるのは、プロのカメラマンが撮った、最高に綺麗な瞬間の家。
- 朝の光が差し込む、ピカピカのFIX窓
- フルオープンで風が通る、爽やかな大開放窓
- 緑が見える、絵のように素敵な眺望
これを毎日見てると、「こんな家に住みたい」と思うのが自然です。
モデルハウス・展示場の演出
ハウスメーカーのモデルハウスも同じです。
- 照明が完璧に計算されてる
- 家具・小物が完璧にコーディネートされてる
- 窓は毎日プロが掃除してる
- 大開放窓は、「今だけ」開けて見せてる
これを見ると、「自分の家もこんな雰囲気になる」と思ってしまう。
でも、実際の生活は、雑誌や展示場とは違います。
「素敵な暮らし」のイメージと現実のギャップ
施主さんは、「素敵な暮らし」のイメージを持って家を建てます。
- 朝、光あふれるリビングでコーヒー
- 大開放窓を開けて、外と一体になった暮らし
- 高い吹き抜けに差し込む朝日
このイメージ自体は、悪くないんです。
でも、毎日の現実は:
- ホコリの掃除
- ガラス拭き
- 虫対策
- 開け閉めの手間
- 日よけ・防寒対策
ここのギャップに、施主さんが気づくのは、住み始めてからなんです。
窓を選ぶ時の3つの視点

「じゃあ、どう窓を選べばええん?」
3つの視点を提案します。
①毎日のメンテナンスを想像する
窓を選ぶ時、毎日のメンテナンスを想像してください。
- この窓、誰が掃除する?
- 自分で手が届く?
- 業者に頼むなら、いくらかかる?
- カーテンや日よけは、どうする?
「5年後・10年後、これ綺麗に維持できるか」を考えると、選び方が変わってきます。
②実際に開け閉めする頻度を考える
開閉できる窓は、実際にどれくらい開け閉めするかを想像してください。
- 朝、開ける?
- 出かける時、閉める?
- 雨が降ったら?
- 寝る時、夜に閉める?
「毎日10回開け閉めする窓」と「月1回も開けない窓」では、選び方が違います。
③5年後・10年後を想像する
最後に、5年後・10年後の自分を想像してください。
- 子供が大きくなって、家具が増える
- 自分も体力が落ちる(高い位置の掃除が大変に)
- ライフスタイルが変わる
「今のテンション」じゃなく、「長く住む家としての快適さ」で判断するのがおすすめです。
まとめ

長くなったので、まとめます。
やめた方がいい窓2つ
①手の届かない位置のFIX窓
- 誇りのたまり場、掃除できない
- 日よけがロールスクリーンに限定
- カーテンと合わない
- 特に階段の上・吹き抜け・玄関ホールの上はNG
②フルオープンの大開放窓・壁一面窓
- 虫が入る
- 開け閉めがめんどくさい
- ホテルで一泊でもめんどくさいのに、家で毎日?
- よっぽど開放感好きじゃないと、ほぼ使わなくなる
窓を選ぶ3つの視点
- 毎日のメンテナンスを想像する
- 実際に開け閉めする頻度を考える
- 5年後・10年後を想像する
雑誌やSNSの「素敵な窓」は、確かに憧れます。気持ちはよく分かります。
でも、家は毎日暮らす場所。「今、素敵に見える窓」じゃなく、「長く暮らして快適な窓」を選んでください。
「FIX窓は手の届く位置で」「大開放窓は本当に毎日開けるか考えてから」——これだけ意識すれば、住み始めてから「こんな窓やめておけば」となるリスクは、大きく減ります。
業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。
次回予告
次回も、現場で見てきた情報を、施主目線で翻訳してお届けします。
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