家づくりを始める施主さん、最近はネットで情報をたくさん集めますよね。
- インスタで間取りを研究
- YouTubeで建材を学ぶ
- ブログで失敗談を読み込む
- SNSで他の施主さんの体験談をチェック
これ自体、本当に素晴らしいことです。昔は業者の言いなりが多かったけど、今は施主が主体的に学んで家づくりに臨める時代。家づくりにとってプラスです。
でも、最近現場で職人さんからこんな話を聞きました:
「ネットで見た情報を鵜呑みにして、変な材料を指定してくる施主が増えてる」
これ、施主側に悪気はないんです。「いい家を建てたい」っていう気持ちの表れ。
でも、伝え方を間違うと、業者・職人さんから敬遠されるんです。最悪、業者から断られて家が建たなくなることもあります。
今回は、現場の職人さんから聞いた話をベースに、ネットで集めた知識を、業者にどう伝えるかを、プロ目線でお伝えします。
「情報をしっかり調べてから業者と話したい」「でも、業者と良い関係を築きたい」って施主さん、必読です。
施主のネット情報活用は、本来いいこと

まず大前提として、施主がネットで情報を集めるのは素晴らしいことです。
昔は業者の言いなりが多かった
少し前までの家づくりって、こんな感じでした:
- 施主は専門知識がない
- 業者の提案を、ほぼそのまま受け入れる
- 「プロに任せます」が多かった
- 結果、後悔するケースも
業者の善意に頼るしかない時代だった、とも言えます。
今は施主が主体的に学べる時代
今は状況が全然違います:
- インスタで実例を見られる
- YouTubeで施工方法を学べる
- ブログで失敗談を読める
- ネット情報が豊富
施主が主体的に学んで家づくりに臨める時代。これ、家づくりにとって大きなプラスです。
ただし、使い方を間違うと…
ここから先が、今回のメインテーマ。
ネット情報の活用は本来いいことなんですが、使い方を間違うと逆効果になるんです。
現場で職人さんが「最近、こんな施主さんが増えてる」と話してたパターンを、次の章で見ていきます。
現場で職人が困る「ネット情報の使い方」

職人さんが「変わってた…」と感じる施主さんのパターンを紹介します。
半端な知識で材料を指定する
一番多いパターンが、ネットで見た情報をそのまま「これにして」と指定してくるケース。
施主さん本人は、ネットで一生懸命調べて「これがいい」と思って指定してます。善意の行動なんです。
でも、プロから見ると、いろいろ問題があるケースが多いんです。
あるあるエピソード
職人さんから最近聞いた話(抽象化してます):
「ある施主さんが、家の排水マスについて、業者に『300mmくらいの大きなマス』を指定してきました。
施主さんは、ネットで『マスは大きい方が掃除しやすい』っていう情報を見つけて、『じゃあ、大きい方がいい!』と思って指定したんです。
ご本人は『メンテしやすい方がいい』っていう善意の選択でした。
でも、現場のプロから見ると、いくつも問題があったんです:
①今の主流は「小口径マス」
- 最近の家の排水マスは、小さい径のものが主流
- 配管の構造的に、掃除不要・木の根も入らない設計
- そもそも『大きい方が掃除しやすい』っていう前提が古い
②大型のマスは今ほとんど出回ってない
- メーカー在庫が少ない
- わざわざ取り寄せが必要
- 工期遅延の原因に
③コストが上がる
- 施工手間がかかりコストアップ
- 施主の予算オーバー要因
④施工性も悪い
- 周りの配管との取り合いが難しい
- 職人の手間が倍以上
結果、その工務店は『この仕様では予算が合わない』と判断。施主さんは別の業者を探すハメになったそうです」
施主に悪気はない、でも結果がアカン
このエピソードのポイントは:
- 施主さんに悪気はゼロ
- 「メンテしやすい方がいい」っていう善意
- でも、ネット情報の前提が古かった
- プロの知見と食い違ってた
施主さんは「しっかり調べて、いい家を建てたい」って思ってただけ。でも、結果は業者から断られるという最悪のパターンに…。
これ、ネット情報の使い方を間違うと起こりうる話です。
なぜ「半端な知識での指定」が問題なのか

施主に悪気がなくても、なぜ問題になるのか整理します。
理由①その材料・工法が施工できないことがある
ネット情報は、いつのものか分からないことが多いんです。
- 数年前の主流だった材料
- 今は廃番になった商品
- 特殊な工法
これらを指定されても、業者は対応できないことがあります。
理由②他の部材との相性が悪いことがある
家は、全体が連動して成り立ってるんです。
- ある材料を変えると、別の部材も変える必要が出てくる
- 連鎖的に仕様変更が発生
- 全体のバランスが崩れる
ネットで見た断片的な情報だけで指定すると、こういう「取り合いの問題」が起きやすい。
理由③保証範囲外になることがある
業者が標準的に使う材料・工法には、保証がついてます。
施主指定の材料を使うと:
- 業者の保証範囲外になる
- トラブル時の責任が曖昧になる
- 後で揉める原因に
7記事目「安心保証の罠」でも書きましたが、保証範囲は契約前に必ず確認すべき項目です。
理由④業者の利益が削られる
業者は、標準的な材料に少しマージンを乗せて利益を出してます。
- 施主指定の材料 → マージン乗せにくい
- 取り寄せの手間 → 業者の負担
- 結果、業者の利益が削られる
これが続くと、業者のモチベーションも下がります。
業者を味方につける「知識の使い方」3つ

「じゃあ、ネット情報を活かしながら、業者と良い関係を築くにはどうすればええん?」
3つの姿勢を提案します。
①「指定」じゃなく「相談」する
これが一番大事です。
ネットで見た情報を業者に伝える時、「これにして」じゃなく「これってどう思います?」と聞いてください。
NG例:
- 「ネットで○○がいいって書いてあったから、これにして」
- 「YouTubeで紹介されてたから、これを使って」
OK例:
- 「ネットで○○を見たんですが、どう思いますか?」
- 「YouTubeで紹介されてたんですが、うちの家に合いますか?」
「指定」と「相談」の違いだけで、業者の反応が全然変わります。
②「業者の意見を聞く」姿勢
業者から意見が返ってきたら、まず一旦受け止める。
12記事目「業者から嫌われる施主」でも書きましたが、業者の意見をいきなり否定しないのが大事。
- 「そうなんですね、それは知りませんでした」
- 「詳しく教えてもらえますか?」
- 「じゃあ、どうするのがベストですか?」
業者はプロの判断を持ってます。施主のネット情報より、現場の知見の方が正確なことが多い。
③「分からないことは分からない」と認める
これ、意外と難しいんですが超大事。
施主さんの中には、ちょっとネットで調べた知識を、専門家っぽく振る舞う人がいます。
職人さん目線:
- 「この施主、知ったかぶりしてる」って一発で見抜かれる
- 信頼関係が築けない
- 「説明しても聞かない人」と認識される
- 結果、業者が最低限の仕事で済ませようとする
逆に、「分からないことは分からない、教えてください」と素直に言える施主さんは、業者から愛されます。
「プロから教えてもらう」って姿勢が、結果的にいい家を建てる近道です。
いい家を建てる施主の共通点

20年現場で見てきて、「この施主、いい家建ててるなあ」って思う人には、共通点があります。
ネット情報は「会話のきっかけ」として使う
いい家を建てる施主さんは、ネット情報を「会話のきっかけ」として使ってます。
- 「ネットでこんな情報見たんですが、どうですか?」
- 「他の家ではこうしてるみたいですが、うちもできますか?」
- 「勉強したんですが、ここが分かりません」
ネット情報を業者との対話の道具として活用してる。
業者と一緒に考える姿勢
「業者vs施主」じゃなく、「業者と施主が一緒にいい家を作る」っていうマインド。
- 業者の提案を尊重
- 自分の希望も伝える
- 一緒に着地点を探す
このスタンスだと、業者のモチベーションも上がります。
プロの知見に「教えてもらう」スタンス
家づくりのプロは、業者・職人さんです。施主は素人。
これ、当たり前の事実なんですが、忘れる人がいるんです。
「教えてもらう」スタンスでいると:
- 業者は喜んで説明してくれる
- 施主の知識が増える
- 信頼関係ができる
- 結果、業者が「この施主のためにいい仕事しよう」と思ってくれる
まとめ

長くなったので、まとめます。
ネット情報の活用について
- 施主が情報を集めるのは本来素晴らしいこと
- ただし、使い方を間違うと逆効果
- 半端な知識での「指定」は、業者から敬遠される
- 最悪、業者から断られて家が建たない
現場で職人が困るパターン
- 古いネット情報を鵜呑みにして材料指定
- 業者の意見より、ネット情報を優先
- 知ったかぶりで専門家っぽく振る舞う
業者を味方につける「知識の使い方」3つ
- 「指定」じゃなく「相談」する
- 業者の意見を聞く姿勢
- 分からないことは分からないと認める
ネットで情報を集めるのは、家づくりにおいて間違いなくプラスです。施主さんの学ぶ姿勢は、素晴らしいこと。
ただ、その情報を業者にどう伝えるかで、結果が大きく変わります。
「指定」じゃなく「相談」。「業者に教える」じゃなく「業者から教えてもらう」。
このスタンスでいると、業者・職人さんが「この施主のために本気で仕事しよう」って思ってくれる。それが、結果的にいい家を建てる最強の方法です。
業界の中の人として、これからも施主が知らずに損する仕組みを、正直に伝えていきます。
次回予告
次の記事では、また現場で見てきた情報を、施主目線で翻訳してお届けします。
もしまだ読んでない方は、過去の記事もぜひ:
業者から嫌われる施主の特徴3選。現役一級建築施工管理技士が暴露する「やりがちNG行動」


コメント